勇者から魔王の妃へ? まさかのスカウト転職
侯爵家の令嬢として生まれ変わったセリアは、前世で勇者だった記憶を持っている。
貴族のしきたりや政略結婚に縛られることに、ずっと納得がいかなかった。
ある日、突然王太子・エドワードから婚約破棄を宣言される。
「君のような勝気な令嬢は、王妃には相応しくない!」
その言葉に、セリアは心の中でガッツポーズを決めた。
「最高! やっと自由になれるわ!」
もちろん、表面上は少しショックなフリをしてみせたが、内心は大喜びだ。
だって、ずっと縛られていた婚約から解放されたのだから!
ところが、王太子は「嘆き悲しむだろう」と思い込んでいたらしく、逆上してセリアに怒りをぶつけてきた。
さらに、貴族たちも「気丈に振る舞っているだけだろう」と勘違いし、セリアを追放しようとする。
「はぁ? 本当にバカなの?」
セリアは心の底から解放された喜びを感じていた。
「さて、どこに向かおうかしら……」
そう思いながら町の方へ歩き出すと、遠くの宮殿が目に入った。
普通の建物とは一線を画す豪華さに、思わず足を止めた。
そして、目の前に現れたのは、驚くほど美しい男だった。
魔王、カイゼル・ノアーラ。
「ただの令嬢ではないな」
予想外の一言に、自然と笑顔がこぼれた。
「ええ、まぁ。前世で勇者をやってましたから」
「ならば、お前を我が妃として迎えよう」
まさかの求婚だなんて。
信じられない思いだが、カイゼルの顔は真剣そのものだった。
「出会ったばかりなのに……」
セリアの心臓が激しく打ち鳴る。
カイゼルは、その美しい顔に微笑みを浮かべている。
「こんな形でまた束縛を受けるなんて…」
自由を求めていたセリアにとって、どういう意味を持つのだろう。
意外にも、その答えを見つけられずにいた。
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