異異世界拘束者の終末譚〜なんの未練もない世界だったとしても終わらせたくはない〜
投稿日はなかなか縁起のいい日でしたね。どうしてもこの日に始めたかったため、途中までしか構想していないも関わらず試しに上げてみました。
科学技術が発展し、もう一つの世界と言えるほど現実世界に近しい仮想世界が人々の生活基軸になっていた。
そして、それは多くの人々が現実世界よりも仮想世界にいる時間の方が多くなっていたことを意味する。
そこでは、別の姿をした自分分身に扮して、会話をしたり、買い物をしたりなど新たな社会が生み出されていた。
そんな世界で私は暮らしていた。
エスカトロジーインバルソという10000年前の私の暮らす世界を再現したゲームがある。
ゲームは仮想世界での暮らしとは異なり、人が動かしていない人物が多く出てくる。
このゲームでは明確な主人公はおらず、とりあえず世界の終焉を防ごうという漠然とした目的しかない。
それが具体的に何なのかわからず、人工知能によって結末は決められていて、実際に成功しないと何が原因だったかもわからない。
今の技術では人工知能がゲームを自動生成する。そこに入った者の行動次第で無限大通りの結末に着地するのが魅力の一つだ。
そこでは現実では得られない体験があり、人々を虜にしている。
人工知能が生成した娯楽ゲームであるため歴史とは異なる創作された要素が一部あると思われる。
その人工知能は人を超える知能を有しており、もはや何を考えているかや何をしているかは人には全くわからないと言われる。
そのため、人が発見していない本当の事実を発見している可能性もあり、歴史上の事実と創作が混合して、そのゲームの攻略が新たな歴史の発見だなどと勘違いしている者もいたりする。
先人たちが作り上げた便利で楽に生きれる仕組みが、私たちの世界の人の思考を停止させている可能性があるにも関わらず、危機感を抱くものは非常に少ない。
そして今、私は、人部門の中の開発陣の一員で、このゲームの不具合がないかの確認で起動している。
誰もいない自室でひっそりと人工知能に問いかける。
「エア、世界終焉の原因は何?」
「……」
昨今は人工知能がゲームの内容の疑問を答えてくれて円滑に攻略が進むようになっている。
名前はエアという。
しかし、答えくれない。
これは完全攻略可能な情報が含まれているからだろう。
まあ、簡単に全ての攻略情報が手に入ったら楽しいものでもないからな。
「エア、わたしはこれからどうすればいい?」
「現在の状況は特に大きな手がかりがない状況なので家の周りを探索し、人から情報を得るべきだと考えられます」
このように人工知能に聞けば、登場人物の情報を聞き出せるようになっている。
私は主要人物の性格をほんの少し把握している。
その上で人工知能で補えば上手く世を渡れるだろう。
VR MMOというより、現実的な人生ゲームのようなものだ。
登場人物のステータスは数値化されている。
ステータスウィンドを開くことで、見ることができる。
それによって、能力の優劣を視覚的にわかりやすく認識することができる。
エアに聞けば教えてくれるかもしれないが、自分以外の登場人物を調べることはできない。
人ほどの知能がある人工知能は自分から別の人工知能を作ることができる。
その人工知能は機能に特化した人工知能で、できる能力を増やすために作っていると考えられる。
つまり、このゲームはエアとは別の人工知能が作り出したものだ。
その人工知能は少し奇妙で、元を辿ろうにもどこから発生したかは正確にはわからない。
もし、戻り方がわからなくなっても、どうやって戻るんだと焦る必要はない。
エアに聞けばすぐに戻り方のコツを教えてくれるからだ。
仮想世界にいた場合でも、少しはあちら側の意識があるためいつでも戻っていける仕組みがある。
このゲームをしている状態は、夢を見ている時に近い。
かと言って、夢を見ているには現実世界での意識があるような不思議な感覚がする。
現実世界での私は、側から見ると機械を装着して寝ているようにしか見えない。
私が暮らしている所はバルソ地方と呼ばれている。
かつて、バルソ神聖国と呼ばれた宗教的重要地点だ。
今ではその歴史の名残すらなく、文献では少し残っているくらいだ。
私はファレンという極悪貴族の次男になっていた。
8歳ほどだ。
極悪とされていた世間の目とは異なり、優しい心を持っていたと言われている。
まず自分の部屋見渡す。
周りのものが大きく見え、動きづらい。
ほとんど問題はないと思われるが、実際にやってみて確認している。
天蓋のある豪華なベッドが配置されており、天井にはシャンデリアがあり、棚や机がある。
壁際の棚には貴重な調度品がある。
そして、そこには高価そうな壺が見える。
ひとまず、物体として生成されている映像に問題はないのだろう。
どこまでの威力の魔法をまでなら使えるのか試してみようと、窓の外に手を出そうとした。
窓の方に目をやる。
その目線の動きの間で、ふと机の上に不可思議な雰囲気を放つ本が置いてあるのが目に入る。
別に意識していないつもりだったが、気づいた時には、吸い込まれるようにそこへと歩いていた。
この机には先ほどまでそんな本なんてなかったはず。
使用人の誰かが置いたのだろうか。
気づいた時には取り憑かれたように本を開いていた。
そうするとその本は部屋全体が見えなくなるほどの光を放った。
咄嗟に目をつむり、目を腕で覆った。
次に目を開いた時には、人とは程遠い容姿をした生物が現れていた。
誰だ? こんな存在見たことも聞いたことがない。
もしかすると使い魔かもしれない。
確か手で大きく四角をなぞると即座にステータスの表示が出ると言う機能があったはずだ。
そこで使い魔が仲間になっていると言う情報が追加されているかもしれない。
急いで手で大きく四角をなぞる。
しかし、なんの反応もなかった。
「誰?」
「……」
その生物は何も話さなかった。
体が小さく、特に危害も加えられなそうなので、さっきの続きの魔法をすることにした。
火属性の魔法は特に習得の条件がないため今すぐ使うことができる。
頭の中で火の玉をイメージする。
そうすると目の前に炎の塊が大きく広がった。
考えてもいないほどまでに膨れ上がった炎塊は生き物のようにうごめいている。
その炎は貴重そうに見える金属製の壺に吸い込まれていった。
壺に直撃した後すぐに炎の塊はなくなり、赤い金属の液体が壺の置かれていた家具に垂れていた。
そして、瞬く間に周辺が燃え出した。
魔術が使えるにしてもその威力が高過ぎる気がする。
一旦戻ろうか。
そう考えていると、意識に違和感を覚える。
意識がとりもちのようにへばりついている感覚だ。
「エア、戻れなくなってしまった。解決策を提案してくれ……」
「……」
反応がない。
そして、さっきいた謎の生物もいなくなっている。
「ファレン様何をしていらっしゃるのですか」
うっすらとその言葉が聞こえたと思った後には、もう頭が真っ白になっていて何も考えられなかった。
時間が止まっていたかのようだ。
そして、気がつくといつのまにか別の部屋にいた。
使用人に父の部屋へ連れて行かれたらしい。
怒られるのかも思ったが、身の安全を心配されただけで特に怒られなかった。
父の部屋の扉を開け廊下へ出ると人がいた。
この人はファレンの兄だったはず。
確か名前はアロウ。
11歳ほどだ。
エアに情報を聞く前に連絡が取れなくなってしまった。これはまずいぞ。
「おいお前。この国の名前知っているか?」
「ソルバ……あ」
空いた口が塞がらず手でそれを隠しうつむく。
私としたことが、色々重なったため間違えてしまったではないか。
「まったーく違う! そんな言い間違えしたら地面が全部ひっくり返って民が全員死ぬみたいだろ。」
「えへへへ。」
この人は何を言っているのだろうか?
冗談ならまだしも本気で言っているのなら今後関わり方を考える必要がある。
愛想笑いをしたが、少し気持ち悪かったかもしれない。
それはいいとして、本当に土地がひっくり返るようなことが起きるのだろうか。
私の兄である人はなぜか勝ち誇ったような表情で嬉しそうにしている。
「兄様はなぜそのようなことを考えられたのですか?」
「馬鹿か! そんな物誰にでもわかるだろう。」
私の返答を想定していなかったのか、動揺したような表情を浮かべた後、足早にこの場を去っていった。
私の兄である人は少しほおを染めていた気がする。
もしかしたら、私を怖がらせるために言ったのかもしれない。
人がいないのを確認し、人工知能に話しかける。
「エア、問題が起きた。解決策を挙げて欲しい」
「……」
また反応がない。
元の世界に戻れなくなってしまった。
壺を溶かしたあたりから意識がおかしいような気がする。いや、あの本を開いた時か?
何が起きているのかわからない。
あっちの世界の感覚がなくなり、閉じ込められてしまっている。
こんなこと初めてだ。
なぜ戻れなくなって……
ゲームを抜け出せなくなっている。
仕方ないこのゲームの最終目的である世界の終焉を防ぐことができたら何かわかるかもしれない。
そんなことを考えながら寝る支度をした。
寝台で目を閉じる。
しかし、このままではまずい。
考えたとしても何か解決方法が浮かぶわけではない。
なぜなら、人工知能に人類の知は敗北しているからだ。
そんな悩みを抱えながら眠りについた。
朝起きて部屋を出ると偶然か知らないが、いた。
「あ、兄様、おはようございます」
「お前知ってるか? 戦争が起きたら世界が終わる。戦争で神様を祀っている場所を壊してでも見ろ。神様が怒るだろう。で、世界の全てを消し去るんじゃないかと言われているんだ。この国にはバース教の聖地があるからな。」
「そうなんですね。初めて聞きました」
そんな神様が世界を壊すなんで変な話だ。
私がいた元の世界である未来の世界は終わるようなことにはなっていない。
よく見ると妹を連れていた。
おそらく5歳ほどだろう。
「にーさま〜」
ふと目が合うとこっちに抱きついてきた。
こんなに小さい子と接したことはないから新鮮だ。
私には家族などいたことがない。
「お前いいな〜。魔眼持ってて。父様が言ってた。ある日、目覚めたら目の色が変わってたんだろ。それを夢想の魔眼と言うって。普通はドラゴンから与えてもらうらしくて、それすら数がかなり少ないって」
私の兄である人は元気のない声で言う。
その様を見ていると可哀想に思う。
私は前にいた世界ではいつも考え事をしていて人とはほとんど話さない日々を過ごしていた。
そして、こんなに親しげに話しかけてくる人なんてもってのほかだ。アロウか。
「兄様もすごいところがありますよ」
「なんかお前腹立つー。 俺と魔法で勝負しろ! 使用人に見てもらうから待ってろ。後で庭にこいよ!」
走っていくアロウを見て私はゆっくりと庭へと歩き出す。
私が操作しているファレンが住んでいる建物は広い。
ゴシックな雰囲気のする建物だ。
廊下を歩く。
改めて落ち着いて見てみると美麗な内装だ。
眺めているだけでその構造に驚かされるばかりだ。
色々と物思いに耽りながらゆっくりと歩き過ぎたのか、庭に出るとアロウたちはもう待っていた。
「見ろ! このドラゴンの宝玉を施した杖は魔眼がなくても魔法が使えるようになるんだ。俺も魔法使えるからな!」
「私は火魔術ならできます」
「え? お前って自分のこと私って言うのか。女になったのか?」
やってしまった。
一人称はまで把握していなかった私のミスだ。
エアにあらかじめ聞いておくべきだった。
「いいえ。ちょっとした気の迷いです。ちょっとあまり寝れなくて……疲れて一人称が変わることくらいありますよ」
「は? 何言ってんのかわからん。ちょっと前までは僕って言ってる子供だったのに」
アロウは少し悲しそうであり、悔しそうでもあるように言った。
子供は子供なりに複雑な感情があるのかもしれない。
今度から一人称は僕ということにしようか。
「じゃあ俺も火魔術をするからお前もやれよ」
アロウは杖を突き出し、火の玉を作る。
私もそれに続いて手を前に出し、火の玉を作る。
私の方が圧倒的に大きく、炎の塊だ。
「おお! ファレンの方が大きいですね」
横で見ていた使用人が反応した。
「前はもっと俺の方が褒められてたのに。なんで今はファレンの方が褒められてんだよー……なんかお前って魔眼手に入れて変になっちゃったな」
「え? 僕は変になってないですよ。兄様は僕のどこが変わったと思いますか?」
「なんか大人になった気分になって調子に乗ってる」
まずい。勘づかれている。
もう少し子供っぽく振る舞わなくては。
「それでも兄様はかっこいいですよ」
「そういうところが嫌なんだよおおおー!」
また間違えてしまった。
そして、アロウは怒ってどっかに行ってしまった。
「前々から釘を刺されていると思いますが、ファレン様はお家の外に出てはダメですよ」
使用人はそう言い残しアロウと共に去っていった。
今はアロウに構っている暇はない。
世界の終焉が何であるかの手がかりを掴まなくては。
昔読んだ文献の内容を思い出した。
ある文献には、ファレンが世界終焉の危機を救った英雄とされていた。
悪の貴族と世間的に見られていてそこから世界を救ったとされているが、どういう過程で評価が一変したのか、はたまた人知れず世界を救ったのかどうかはわからない。
そしてまた、ある文献には、次期国王が世界を救ったとされていてファレンはそれを邪魔していた極悪貴族とされていた。
極悪貴族が世界を救ったのか、善良貴族が世界を救ったのかで意見が二分しているのだ。
どちらにせよ次期国王に会って、協力を仰ぐべきだと思う。
そいつが世界を救うだけの力量があるかも知れないからだ。
そのためには居場所を知る必要がある。
しかし、遠くにいた場合行くのがめんどくさい。
長時間馬車に揺られるのは疲れる。移動手段が馬しかないと予想されるためだ。
そういえば、外に出てはダメだった。
とりあえずその貴族の情報を父に聞いてみようか。
基本ここで暮らす大人たちは終末論を信じていないらしい。
みんな神様がなんとかしてくれると思っている。
壺を溶かして連行され、父に心配の言葉をいただいた時、世界の終焉の話を聞いた。
父曰く、戦争が起きて世界が終焉するというのは1つの解釈に過ぎない。
それ自体が起きることは予言されているが、それが何を表しているのかが抽象的だからいろんな意見が出ているらしい。
世界が終わるかどうかの可能性を聞くと、前に世界終焉の危機があったのは10000年前と言われている。
そして、10000年周期で起きていると考えられているから信憑性は高いらしい。
本当に世界が終わる可能性があるということだ。
あの時は、あまりにも衝撃的なことが起こったため本の中身を見ることすらできなかった。
内容を確認するために、謎の生物が出てきたあの本をもう一回見ることにした。
「やあ。久しぶりです」
本を開いた瞬間に声が聞こえて、思わず身体が大きくのけぞる
この本を開くと現れるようになっているのか?
「いいえ、見えないところで寝てました」
「え? 今なんも言ってないはずですが」
「いいえ、予想です」
その本の中身は魔導書のようだった。
たまたま開いたページに興味深いことが書かれていた。
魔法で山にある何かを固めれば世界の終焉を防げるらしい。
山といえばそれが火山だった場合マグマが噴き出してきて噴火する可能性がある。
もし、世界の終焉の始まりが火山の噴火した後の副作用が原因だった場合、気温の低下や大気汚染が起こる。
それが健康被害や飢餓に繋がり、徐々に人類が滅亡していくのだことを言っているのではないだろうか。
元の世界へ戻れなくなると気づく少し前に開いていた本だ。
もしかしたら戻れない理由と関連しているかもしれない。
「噴火は防がない方がいいよ」
特に何も話しかけていないが、その生物は言葉を放った。
そうなのか。
しかし、それ以外の方法は思いつかない。
こいつは何か知っているということか。
「じゃあ何が原因だと思いますか?」
「それは言えません。」
どう言うことだ。
知らないなら素直に知らないと言った方が良くないか?
それか何か隠していると言うことか。
いや、こんな小さいやつが知っているはずがないだろう。
そいつはなぜか、空に浮きながら眉をひそめている。
私が1人で考えている一瞬の間に機嫌が悪くなっているようだ。
構ってくれないからか?
「わたくしはおまえの相棒です!」
声高に言うその生物ははただ大声だったわけではなく、何かに苛立っていたようだった。
相棒って。
別に一緒に何かを成し遂げた仲間でもないのに、距離の近い呼び方をするのはなぜだろう。
まあいい。
やはり、地下のマグマを冷やして固めれば、噴火を防ぐことができるのではないか。
これが元の世界へ戻る糸口になるかもしれない。
他の手がかりを探そうと建物を探索しているとアロウに見つかり絡まれてしまった。
「何そいつ! 俺も欲しいからくれよ」
兄は目を輝かせながら見てくる。
「わたくしは、そんな自分勝手なやつの所へは行きません」
「やっぱそいついらないわ」
そんなにその一言が決定的なものだったのか!?
アロウは急に拒否反応を示した。
「別に僕もそんなに欲しいわけではないです」
「そいつさー。なんかミチューデ族っていう亜人に似てる。でも、あれは空は飛べないはずなんだよな」
ミチューデ族?
なんのことだ?
聞いたことがない。
エアに登場する生物全てを聞いておくべきだった。
「わたくしは高次元の存在だから。お前みたいな肉の塊とは違うのよ」
「こいつキモいわ」
急に口が悪い。
口答えすると殺される可能性は考えなかったのだろうか。
そんなやりとりを見ていると使用人がやって来た。
「父上様がお呼びです」
え! なんのことだ!?
もしかしたら高価そうな壺を溶かして、簡素な形に変えてしまったことを本当は怒っていたのかもしれない。
私は急いで父の部屋へ向かった。
「王様から火山が噴火するかもしれないため、火山の様子を見にいけとの命令が出た」
「それと僕が呼び出されたことと何が関係あるのですか?」
「お前とだ」
「馬車は嫌です」
父には私の心の悲鳴が何も聞こえていないようだった。
「それは良いとして父様。時期国王に会う方法はないですか?」
「うーん。貴族たちが集まる晩餐会だと会えるかも知れないが……どうしてそんなこと聞くんだ?」
「この国の一番偉くなるお方ですから一度会ってみたいと思いまして」
「ほう。それならお前の婚約者と会うついでに連れていってやろう」
そして、休息を取る間も無く即座に馬車に乗り、火山へ向かった。
かなり長く乗っていて、ついたころには半日近く経っていた。
独特な揺れ方に酔わされた。
私はもう乗りたくない。
あたりは暗く、中でも火山の火口は一際明るく輝いている。
「父様、魔法を使ってもいいでしょうか?」
「まだ、ダメだ」
「これが世界終焉の予兆なのか!?」
「いや、そんなのは過剰な心配に過ぎない」
周囲の人の話し声が耳に入る。
やはりそう言った噂はよくあるようだ。
私はその要因を全て把握したいと思っている。
そして、父が口を開く。
「ファレン何かできるか?」
「はいやってみます」
時間の経過で噴射物のエネルギーが溜まり火山ごと吹っ飛ぶのを防ぐために地下のマグマ溜まりを冷やして固める。
手をかざし、地下のマグマ溜まりの場所を意識する。氷を作る魔法の要領で冷やす。
こうすることで今後噴火しづらくなるだろう。
「おい! 火山の活動が弱まったぞ! 溶岩放出がおさまっていく」
驚いたような声が聞こえるが気にせず続ける。
仕上げに魔法で岩をイメージする。
地魔術はやったことがない。
噴火口の上に巨大な岩が生成した。
成功したようだ。
それを噴火口に設置した。
「何が起きたんだ? これで厄災の危機が無くなったのか?」
私たちを明るく照らしていた溶岩は暗くなり辺りは漆黒に包まれた。
代わりに、松明の明かりが灯しだした。
「ファレン。よくやった!」
父は喜び私を抱きかかえた。
「おお! この子がやったのか!」
「すごいぞおおお!」
周囲の称賛に私は少し嬉しくなった。
これで私は世界の終焉の防いだ……はず。
読んでくださりありがとございます。
気に入っていただけたら「☆☆☆☆☆」やブックマークを入れていただくと嬉しいです。
評価が多ければ続きを書くかも知れません。
しかし、全く評価されなくても続きを書いたり、書かなかったりする可能性がありもします。