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「ふう……とりあえず状況を整理しよう。

我々は悪魔軍と交戦中、成り行きで見知らぬ場所へ転移させられた」

ミカエルはそう言った。


「だいたいそんな感じだな」

「そして転送の途中、魔力の足りなかった天使たちは行方不明、生死不明になった」

「そうみたいだ」

「魔力が十分だった俺たちは生き残った」

「理論上は、な」


「……」

「……?」


「もういい、ガブリエル!! 黙れ!!

その曖昧な相づちにはもううんざりだ!!」


「“曖昧な相づち”が何かはよく分からないけど、

僕がこんなに積極的に議論に参加してることを喜ぶべきじゃないかな」


「感動で涙が止まりそうだよ。だから早く黙ってくれ」

ラファエルが口を挟んだ。


「……君たち、結託して僕をいじめてない?」


「「お前こそ、わざと俺たちを怒らせてるんじゃないのか……?」」


「はいはい……」

ガブリエルは降参するように両手を上げた。

「喋らない、喋らないから」


「まったく……」

ミカエルは呆れた表情を浮かべる。

「お前、熾天使だろ……? その有様はどういうことだ」


「だってお腹が空いてるんだもん」


……(沈黙)


「……? みんなどうしたの……?」


「「何でもないから、とにかく黙っててくれ」」


「本当に息ぴったりだな……」

ガブリエルは心の中でそう思い、同時に白目を剥いた。

死んだ魚のような目が、さらに生気を失う。


「でもさ、そこまで心配する必要はないと思うよ。

何と言っても、僕たちは熾天使だ。天父以外、誰も手出しできない」


「それが一番の問題なんだ……」

ミカエルはため息をついた。

「それに、ここがどこなのか分からない。

もしかしたら、天使の存在しない世界かもしれないぞ」


「ははは、まさか。ミカエル、想像力がたくましすぎるよ」


「……まあ、そうだな」


「天使がいるかどうかは知らないけど」

氷刃のように冷たい声が、会話に割り込んだ。

「あなたたちがここにいるべきじゃないことは、確かよ」


「!?」


「危ない!」

ガブリエルが叫び、同時に聖剣を抜き、

ラファエルへ突き出された戦闘ナイフを弾いた。


それを見たミカエルも即座に反応し、

地面に尻もちをついたラファエルの頭上を飛び越え、

女へ前蹴りを放つ。


女は素早く腕を上げてそれを受け止め、距離を取った。


「何者だ!?」

ミカエルは茶髪の美女に向かって叫ぶ。

「熾天使に攻撃するとは、いい度胸だな!」


茶髪の女は鋭い目つきでナイフを構え、

まるで「何この変人たち……? コスプレ? しかも本物の剣?」

と言いたげな視線で彼らを値踏みする。


「ラファエル、大丈夫か?」


「……ああ、大丈夫だ」


ラファエルが立ち上がる。

その横で、ミカエルが舌打ちした。


「ちっ……また戦いか……」


これは、彼らがまだ知らなかった“世界の始まり”。


神と縁を持たず、

スポットライトの外に隠された、新たな戦場。

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