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ファンタズマキア  作者: 9489
1章「塀の外」
6/51

tower of terrible

短期間で戦闘を繰り返した亡霊は疲れていた。

(インドア派の俺にこんな戦わせるなよ・・・)



しかし街はまだ混乱状態、気を緩める事は出来ない。



亡霊はこの一連の騒動の後に知るが、最終的には死者が20人以上、負傷者も50名以上出る大規模な殺戮行為であった。



「おーい、大丈夫か〜?」

建物の外からサンタナの声がした。

窓からそのまま3階下の外に飛び降り、機械腕を巧みに扱い着地する。



「まぁなんとかな」

「さっきネットを調べたけど、今回の暴動の主犯は、あの塔の人だって」とエムナ。

「あそこから見下して、街の騒乱を眺めてるってのはタチわりーよなぁ」

サンタナは「どうすんの、攻めるのか?」と聞いてくる。

勿論、ここで叩いてだるい事は終わらせたいってな。



この街は広いが、扇状に広がっている。

扇の内円部には壁があり、そこからすこし離れたところに廃墟の塔がある。

ここからは徒歩30分程度の場所だ。

やたらとデカい街である以上、この距離は仕方ないものだ。



そして50分後、ユティとエムナが地図情報を読み込んだお陰で、比較的戦闘回数も少なくたどり着いた。



仰々しい白い門が聳えている。

門番は5人程度、亡霊が駆け出す。

嵐のように彼らを吹き飛ばす。アームを鞭のようにしならせて彼らの足元を掬って投げ飛ばす。



そうしている間に3人は門前に到達。

ユティは自分の腕についた液晶からケーブルを伸ばし、画面を操作する。



ピー!と解除音。

道中でセキュリティには自信があると言っていたが、こういう事だったのかと亡霊は頷いた。



ゆっくりと門が開く。

ニヤついた視線が一斉に集まった、まだ中には暴徒が30人ほどいた。

この塔の主人は用心深い奴のようだ。



サンタナは叫ぶ。

「こっ、ここは俺に任せろ、お前達を見送る盾になろう」



「いくらサンタナでもここでの30人は厳しいぜ、さっさとみんなで片付けて…」

遮るようにサンタナは告げる

「いま一刻を争う場面、亡霊が先に進む事が苦しんでいる人たちを救う事になる…!」



「でも…」

「いいじゃないか、俺をこの街を救う英雄にさせてくれよ」



「わかった、絶対あとからこいよ。出会ったばかりだとしてもクソどもにやられるのは寝覚め悪りぃから」



「任せろ」





力強くサンタナは突撃した。







ーーー







サンタナの突撃により一直線の道が出来た。

ユティ、エムナ、亡霊の3人はその先にある入り口を壊して入っていた。





廃墟の塔。

薄気味が悪く、上層のみが光に照らされているが、エントランスは薄暗く、ライトも点いたり消えたりを繰り返している。

エレベーターも故障しているようで、階段であがると、鉄の匂いとアンモニアの臭いが漂っていた。



無機質な1階とは違い、5階に差し掛かった所でこの階段は終点だった。

「5階刻みで階段の位置が違うのか、面倒だが如何にもって感じだな」



ふたりもしっかり付いてきている。長距離歩いた上で階段を登ってても文句の1つも出なかった。



元はと言えばこのふたりを連れてくるつもりは無かった。

しかしエムナが強い意志で着いてくると言った。

怪我をするのは当たり前、下手したら死ぬかもしれない。

それでも彼女は亡霊とサンタナと戦うと言ったのだ。



ユティは非戦闘員だとしても、一人でいるよりはみんなに着いてきた方が安全だという結果である。

出会ったばかりなのに、ここまで信用してもらえたことに亡霊は内心うれしく思った。



次の階段には、扉に閉ざされた部屋に入った対面にあると察した3人は、意を決して扉を開く。

セキュリティなどはなく、式場の様な厚いドアがギシギシ…と開いていく。



血の匂い。中には足にマキナをつけた20歳前後の男女がいた。総勢6名。

部屋に足を踏み入れると、それぞれこちらに向かってきた。







断続的に打撃音が響き渡っていた。

ユティを守る様に、前を亡霊が後ろをエムナが防戦していた。



エムナの足技も見事であったが、彼らの攻撃は重さが違った。

何故、脚部のマキナでここまでの威力を出せるのか。別次元の重さだった。



亡霊は自分達の周囲を守る様に、伸ばしたアームで竜巻の様な動きをする。

それに弾かれた兵士たちは、立ち上がりまた攻めてくる。



「お前ら強いなぁ、ひとりひとり強いのにこんなにいちゃあ困るなぁ!」

亡霊の攻撃がヒットする。

「俺達"渇血兵士"は甘えた生活をしていない、贄になってもらう!!!」

そういうと連撃が胴体に直撃し、亡霊は小さく呻いた。



「俺達は奴隷王様の為に身を捧げた。捧げて生かして貰っている神のみ使い。貴様らが今日の夕飯となるのだ」



別の渇血兵士がユティに飛びつき、肩を噛んだ。

ユティの肩は服越しにも赤く染まっていく。



「ユティ!!!!!」

亡霊が叫ぶ頃には、噛み付いた兵士にエムナの蹴りが顔を捉える。



恍惚と苦悶の表情を浮かべた兵士は壁に激突し、動かなくなった。



何がどうなってやがる。こいつらの戦闘力。

この実力さえあれば最初から大金はたかなくても、この街をある程度は支配できるはずだ。



こいつらは何かがおかしい・・・。

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