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ファンタズマキア  作者: 9489
4章「さよならH.C」
39/51

さよなら、H.C.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ヘレナ・コーポレーション ビル

30階建



1階 バー

2階 ラウンジ

3階 事務室

4階ー10階 倉庫

11階ー15階 兵士居住区

16階 研究所

17階 レクリエーションルーム

18階 病院窓口

19ー23階 病室

24ー26階 幹部居住区

27階 管理室

28階テラス、会議室

29階 社長室

30階 屋上

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[30階 屋上]

たどり着いた頂上。ここまでいろんな事が起きた。

今日もどこかで誰かが頑張っている。

社長室にいない影を追ってここまできた男、シックス。



「探したぜ」



屋上に佇む人影に問いかける。

混乱極める建物の最上階、それの支配者。



「何を考えてるんだ、俺には教えてくれ」

信頼した親友。彼の理念の為に戦ってきた。

だからこそ今回の真意を問いたかった。



それはこうして剣を首に添え、銃口を頭に向けられている今でもそうだ。











マジェスタ、お前は何がしたいんだ。







・・・



「マジェスタさんたちに連絡がとれねぇ!」

階に備え付けられの回線で飛ばした連絡に返事がないことを嘆いた。



16階の敵は殲滅した。

次にどの階に救援に行くべきか、下の階が機能していないことを考えると上か。



戦局を見ている人がいない為、情報が混乱していた。

「バンビさんはやられたと思った方が良いかもな」



情報が届かない事はどう戦えばいいかわからないということ。

緊張状態であるだけで無駄な体力を消耗する。

ラッキーニュースを期待するがそれも無理なようだ。



するとエイトから声が掛かった。



「お前宛にエムナから連絡が来ている」

無くしたインカム、代わりにエイトに掛けたようだ。即座にエイトは手に持ち、スピーカーモードに変える。

すると立体映像で座標が届いた。どうやら一大事でビルから離れたところで移動している。





「亡霊、聴こえる?」

足音と雑音に混ざったエムナの声。

声色からして焦燥が伝わる。



応答を返すと、矢継ぎ早に語り始めた。

「サンタナに言われてユティちゃん守ってビルの外出たんだけど、ユティちゃん消えちゃった!!!」



聴こえていたものたちの目線が変わる。

亡霊は手で静止し、エムナに続けさせる。

「そして屋上から飛び出したサンタナを見たの。電波も繋がらないし、位置情報も遮断されてるからサンタナが向かった方向に向かってる」



サンタナがなにかを知っているかもしれない。

そもそもこの天使の攻撃が始まった時に出たマジェスタからの指令。

《サンタナを守り切れ》



その男はビルから失踪しながらも、エムナとユティを逃している。

マジェスタと連絡が取れないことも含めて"謎"が尽きない。





亡霊は揺れ動いていた。

マジェスタの指示を待つべきか、エムナの元へ向かうべきか。

エムナを戻して天使と戦うか。いや、それだとサンタナが今なにを考えているか分からない。

そもそもエムナを戻した所で劣勢である現状、道連れを増やすだけか。



ミサイルが一発だけとは限らない。

もう一発がこの階に撃ち込まれると死者が出る事もありえる。





「…この会社って大事な時に連絡取れない奴多いよな」

「シックスさんも連絡取れねーんだ。マジェスタさんに会いに行くって言ったきり。もしかしたら天使にやられてると考えるとさ、俺こえーんだよね」



軽く笑いながら話すエイトは、どこか悲しい目をしていた。











するとバンビから連絡が入った。







《みんなこのビルから逃げて》









どういうつもりだとバンビにタムラが返す。

《何があったかなんて言えないけど、H.C.はここまでなの》



《よくここまでみんなやってくれたわ。ありがとう》



涙声で響き渡る全館放送。

バンビや周りで何かがあったかのような態度。







《調べたら次にミサイルが5発放たれるようだわ、後10分もかからないみたい》



《みんなが想像以上に天使を倒したから、治安維持局がそう踏み切ったみたい》



機防隊の大規模な殲滅作戦では

隊の1/4が戦闘不能となった場合、焼夷ミサイルが1発発射される。

隊の1/2が戦闘不能となった場合、早急に鎮圧する為にそれが5発に増える。



200体導入された天使にそれが適応されるということ、それはつまり100体近く倒したという事。





「待ってくれよ、俺達でも10分で脱出なんて難しいぜ。第一ビルの中の負傷者達はどうするんだよ」

絶望的な状況、亡霊の額を嫌な汗がつたう。



《無責任でごめんね、社長は今話せない状況だから》



バンビに愚痴っても通じない。マジェスタの代理として話している彼女は何を言われても良いと"覚悟"している。

また、どこか死を予感しているような口振りでもある



《今までありがとう、みんな生き残ってね》



「亡霊、グズグズするな。今俺達は生き残らなきゃいかん」

今までこの階に居なかったSilver windのパークス。



Silver windの面々はみんなを下の階に誘導していた。

停止されているエレベーターを起動させ、負傷者を優先的に外に案内している。



「バンビさんはなんで逃げないんだ、マジェスタさんも!!!」

歯をくいしばるが、エイトが肩を叩く。

「パークスのおっちゃんが言う通りだよ、まずはここを出て生き延びよう」





エムナの事、

サンタナの事、

マジェスタとバンビの事、



「…みんな好き勝手に行動しやがって、くそッ」

「組織ってなんだよ、何のために群れていたんだよ!!!!!」



「だせぇよ!!!自分の組織を自分の理由で台無しにしやがって!!!」

「自分だけ、自分だけで良いのかよ!!!!」

壁を殴る手が痛みで痺れる。少し気が紛れると思ったけどそんなことはなかった。



パークスとエイトに肩を押されて亡霊も脱出へ向かう。





[30階 屋上]

振り回す剣が王を捉える事はない。



3体の声の主。

「お前が俺に刃向かうのは予想外だったよ、シックス」



銃口から放たれる紫電の銃弾。

弾き返すと感電するのは自明だ。

それ以上に厄介なのは、マジェスタの二丁の銃型アルマ「Guilt/no Guilt」



H.C.最強と目されるシックスは、マジェスタを捉えられていないようだった。


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