死屍累々の
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ヘレナ・コーポレーション ビル
30階建
1階 バー
2階 ラウンジ
3階 事務室
4階ー10階 倉庫
11階ー15階 兵士居住区
16階 研究所
17階 レクリエーションルーム
18階 病院窓口
19ー23階 病室
24ー26階 幹部居住区
27階 管理室
28階テラス、会議室
29階 社長室
30階 屋上
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僕らは、
初めて、防衛戦をしている。
[22階、病室階 廊下]
4体の天使。こちらは3人。
蛇術師ミスティ、一兵士のワッチ、非武装の亡霊。
「とりあえず俺もアルマとりにいかねぇと戦えねぇ!」
「任せてくだせぇよ、ミスティさんと俺で守りますって」
ミスティは黙って腕をかざすと、鉄の鱗が攻撃の意思を持って飛び立った。
天使も学習しているようで、留まるとミスティの『絞蛇刑』で即死に持っていかれる。
前後にステップし、手に持った突撃槍で牽制する。
ワッチも一撃必殺を持っているようだが、天使2人の攻撃を避けるばかりだった。
「お前あいつ倒したんじゃねーのかよ!」
「へへへ、何を隠そう弾切れでして…」
んだよ!と頭を抱える亡霊。
ミスティは亡霊を守る用に戦力を割いて戦っている以上、決定打がないようだった。
膠着状態が続く。
「クッソー!申し訳ねぇ」
亡霊は護られる自分に罪悪感を感じていた。
闘う力を無くしたものは戦場ではお荷物となる。
このビルの他の箇所にも攻撃を受けているのは明らかだ。
無力者が22階から16階まで行くのは、苦しい。
[24-25階 階段]
階段を駆け上がり社長室を目指すシックスだが、下から天使2体に追われていた。
「しつけーな!忙しいんだよこっちはよ!!!」
すると25階の踊り場で待ち受けていた天使が槍を振り下ろす。
間一髪で廊下に滑り込む。階段を塞がれた上に三体に迫られている。
「どうせ機械鎧の下は男でしょ?そんな趣味ないんだけど!」
ブンブン剣を振り回すが、後ろに下がり避ける天使。
その横から一体が間髪入れず突撃、脇腹を掠める。
「いってぇ」
その反動でもう一体も現れ、振られた一撃に身体がバウンドする。
そして壁に。
「これはピンチかもなぁ」
身体を起こすと嫌になる程の天使、天使、天使。
後転し、距離を取る。
先ほどまでいた場所に槍が刺さっている。
手に握る剣に力が入る。
すぐに飛びかかり、勢いよく力を込めると
天使の首を捉えたそれははち切れんばかりに叩きつけられた。
一撃、装甲の薄い兜と鎧の間ではあるがすぐにそこを捉えられるのはシックスの戦闘センスによるものだった。
「しかし無口なマグロを残り2つね」
自分達の施設で、何故目的地に着くのに時間が掛かるのか。
そう思った瞬間、耳元の無線に声が入った。
「若頭、無事ですか!!!」
この声はサレン、Silver windの一員だ。
「んあ、余裕だ。おめーらどこにいるんだ」
いきなりのアナウンスに一瞬変な声がでた。すると
「ついてますよ、Silver wind総勢で!!」
天使は背後からの衝撃を受けた。
パークスを筆頭に、燻し銀の剣の猛者
Silver windが主人の危機に馳せ参じた。
「若、後は俺らに任してくれよ」
元首領のパークス。彼らはシックスに属する事を挨拶しようと思い、この階に付近に来ていたそうだ。
「ありがとうお前ら…」
一度交えた仲、しかし筋を通す事が彼らの生きがいとなる。
「指示を出してくれ、若頭。俺たちはそれを死守する」
「俺は今何が起こってるか知りたい為に上へと向かう。行く道での天使は任せた。俺を運んでいってくれ!!!」
シックスの思いが逡巡する。
マジェスタが何を考えているか、サンタナに何がある、天使が攻めてきたのは。
[28階 管理室]
「やっぱりどこの組織も情報管理は上階があるのはセオリーだよね」
混乱の首謀者、メシア。
「今がいいタイミングだと思って攻めてきたんだけど、どうかな」
対峙するはバンビ、組み上げた捕獲用バズーカを構える。
「それは俺にはあまり効果ないのは覚えてないかなぁ」
躙り寄ると、バンビは後退りする。
「大変だよね、こんな事になって」
「そっちの幹部のカムルさん、死んじゃったんだって?」
歪に口元をゆがませる男は、見透かした声で擦り寄る。
「近寄るなよ、変な事したら撃つ」
バンビは気丈に振る舞う、しかし震えている声だな耳元で告げられるとメシアを突き飛ばす。
「ヘレナコーポレーションの一大事、同胞殺しと天使の襲来、これは神話の類いかい?」
手を広げる偽りの救世主、バンビの心は戦う前から負けていた。




