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ファンタズマキア  作者: 9489
4章「さよならH.C」
35/51

掻き乱す内臓(おり)の中

今日も退屈だなぁとベッドでゴロゴロする亡霊。



アルマも完成したようで、癒えてきた足をさする。

「そろそろ取りにいくか」





いや、まだ時間あるや。と寝返りをうった。

理由がなきゃ動きたくない。理由があっても腰が重い。



入院してから亡霊の部屋の近くを警備する色黒の男、ワッチに声をかける。

「今日も元気だねぇ」



「亡霊さん!お疲れ様です!ここは僕が守りますよ〜」

ニカッと白い歯を見せる。



白雪合での戦いに参加してたらしく、H.C.に戻った時に共有された映像を見てからというもの、亡霊にお熱なようだ。



一兵士だったが、自分のアルマを見直して自分専用の調整を施したようだ。



「やばいんすよー、俺のアルマめっちゃ凄い機能入ってるんすけど気になります??」



亡霊はなんだよ、と半笑いで返すと



「ナイショっすよ〜〜〜!!!」

憎たらしいほど満面の笑み。話すつもりは無いらしい。



軽くジャブを入れるとワッチはウッ、と声をあげた。





するとビルに響き渡る衝撃。

病室は30階建のビルの22階。

この感覚だと下の階に何かぶつかったか、爆発したか。



直後、鳴り響く警告音。



窓の外を見ると・・・







「まじっすかこれ…」



「これはマジでやべーかもな」

















・・



・・





「おい、一体どうなってんだ」

16階、研究所から出たばかりのシックスが声を上げる。

強化ガラスを割りながら現れた5つの影に挑む。







「ビル全体に攻撃を受けているわね、今入った情報も情報だしどうなってんのよこれ」

28階、情報管理室。バンビはモニターを触りながら入った資料に目を通す。





横から受けた攻撃に、エイトは反撃する。

「このままだと、亡霊が危ない!」

18階にいる彼は22階で、今は戦えない仲間の為に敵を薙ぎ払う。





《《諸君、伝達事項だ》》

混乱を遮るように、マジェスタが全館放送を行う。



《今、天使からの総攻撃を受けている。規模にして100体いる》



中規模市街を制圧する数、5体いれば競合組織を鎮圧できる程の天使がここまでの数で攻めてくるのは異常だ。





「白雪合の一件然り、街を1つにした時点で暴れすぎたってことよな」

シックスは忌々しげに吐き捨てる。

その頃には最後の一人を斬り伏せた所だ。







《そして天使からサンタナが狙われている。サンタナを皆で護れ!!!》





どういう事だよ、と廊下を駆けるシックス。

天使達を狩りに行こうとして駆け出した。下の階では戦闘員が戦っている事が想定されるが



「何考えてるかアイツに聞かないとな」

最上階に向かって走り出す。緊急事態になった時点でエレベーターは使用できないのが困るがなぁ、と独り言を言った。









《後は諸君の健闘を祈る》

通信が途絶えた。









22階にも天使が。外のガラスを割り天使が2体責めてきた。



「ウワウワウワウワーーー!!!」

ワッチの肩、上腕に付けられたアルマから水が放たれる。



天使はそんな事を気に留めず突き進み、ワッチを吹き飛ばす。



病室の壁に叩きつけられたワッチは痛みでのたうち回っていた。



狙われた亡霊、廊下に転がるように逃げると同じように天使も近づいてくる。

「こいつは不味いなぁ」



ワッチは伸びている、自分にアルマはない。

アルマは16階研究所にある。取りにいくには2階下に降りなきゃいけないが逃がしてくれなさそうだ。

敵は2人、これは詰みだ。





その瞬間に、次は天使が吹き飛んだ。

風圧に腕で顔を守ると、その先には









「おまたせ、危なかったね」



そこには麗しきルーキー

【蛇術師】ミスティが立っていた。







「…んあ・・・ありがとう…」



無力な自分を最高のタイミングで守られた。



恥ずかしさと、感動と、よくわからない感情が渦巻いた亡霊は、その場でへたり込んだ。



「あの後から全然見なかったけど、心配してたよ」

「元気そうでよかったよ、亡霊。」



そう言いながら天使の攻撃を、宙に浮かんだ鱗の盾が防ぐ。



人を飲み込む大きさの銀の大蛇を形作ったそれは、天使を締め付ける。



「すげぇ…」

高硬度を誇る天使の装甲に対する1つのアンサー。

質量の塊で絞り上げると、天使は沈黙した。



そして亡霊は気づいていた。

ミスティの操作する鱗の数が倍近くとなっていること。

前回の闘争での反省点を見直した結果だろう。



しかしただでさえ多かった鱗は脳波で操作する限界だったはずだ。



よく見るとブレスレットがつけられている。そうか、手をかざしたりする事で操作を分散させて底上げしたのか。

その停滞しないストイックさに素直に感心した。



「あっ、そういえばワッチが!!」

「病室で伸びてた人?そういえば忘れてた!!!」



ダッシュで戻ると、ワッチは肩で息をしていた。

しかし床を見ると天使を倒したようだ。



「おま、やられたんじゃなかったのかよ」

「亡霊さん!頑張って倒しましたよ!!!めっちゃしんどいす」



引きつった顔で笑う。並みの戦闘員だとそもそも傷付けられない。

5人で挑み、2人逃げれれば良い程の強さを誇るが…





「あ、隣の方はミスティさんですね!蛇の!」

案外一兵士にも有名になってきているようだ。それほどまでに白雪合での戦いの影響力を感じ取った。





「うわーすげー、レジェンドクラスの2人と今一緒にいるって」

顔色を変えずに声が高くなっているところを見ると、彼は嬉しがっているようだ。





「ワッチ、そんなゆっくり出来る暇はなさそうだぜ」

亡霊が告げると通路から2体、窓から2体入ってきた。



「どういう作戦かしらねーけど100体中、この階の一角だけに6体は作戦の欠陥じゃねーの?」





ミスティとワッチは構える。

戦いはこれより激化する。

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