表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタズマキア  作者: 9489
3章「白雪合編」
30/51

天に等しい力

サンタナが攻めると、その隙を狙うように腕を伸ばす亡霊。



身体が冷えていくの実感しながらも

メシアに亡霊とサンタナは挑んでいく。



冷気の刀、爆発する腕、鋭利な尻尾。

何より冷気の刀が厄介だ。



「あの刀の致命傷は避けてるが直撃するとすぐ斬られるな」

そう呟いた瞬間には片腕のワイヤーを切り捨てられた。



高耐久、高過重も耐えれる亡霊のアキレス腱。

高速移動から変幻自在の攻撃も全てこのワイヤーが保っていた。

「最近ついてないなぁ…」



何にせよ亡霊の戦力は半減した。

「取り敢えず下がれ」サンタナに促され一先ず片腕の攻撃を止めず退路を探す。







天候兵器 無明刀【白天華】

世界政府とのコネクションがある小国家[白雪合]

古来からの伝統を重んじており森を突き進むと存在する、大きな塀に閉ざされた姿からこの国の態度は感じ取れるだろう。



発展していく機械技術により技術の隔絶があるだろうが、伝統を守る姿は政府にあったためにその国の王や姫になる予定の子供は政府の最先端教育を10歳から15歳まで受ける事となる。



それは他の国だと適性試験で優秀な成績を残した子供たちを対象に行われているもので、王や姫というだけでそれを受ける事が出来るというのが何よりの特権である。



また、白雪合は古来の有力国家だった為に美女が集う。政府への口利きもあるとの黒い噂もある。



話は戻り、スノウはその政府の青少年プログラムの対象者だった。

プログラムでは投薬や実験の被験者となる。彼らは世間的には公になってはいないが、多感な時期に子供だけを閉じ込めて順位をつけるそれを皮肉り『実験児』とも言われたりする。



本来は優秀者には高性能のアルマを渡されるが、大事な姫を預けた上で実験させる結果として白雪合には規格外のアルマが納品された。





それが【白天華】。

武器を持つ事がこの小国のアイデンティティ。

刃物を持つ事が許されない世界で、自分で切る力を調整できる刀。

そして天候兵器として雪を降らす事ができる。

機械にとって熱も敵だが、豪雪地帯のような冷気も弱点となる。



美しき見た目と能力とは裏腹の「王の力」



そして彼女が危機に瀕した時に解放される力、それが刀身の発熱。

切断の力も刀身の熱による恩恵だが、彼女の血を摂取した時に周りを発火させるような熱を持ち始める。



雪の降った後の白日、込められた祈りは美しくも暴力的な眩しさだった。







サンタナも避ける一方、表皮を陽炎が焼く。

唇を噛む亡霊にミスティが力を添える。

千切れた腕を形取った鱗の手が現れる。



「ごめん、今はスノウの面倒しか見切れないからこれぐらいしかできない」



「じゅうぶんッ!だっ!!!」

勢いよく走ると急造の腕で振りかぶると、視界の端で捉えたメシアは後退する。



「また戻ってきたの?暇だなぁ君も」

うんざりとした顔を見せると返す刀で焼き切る。

しかし元々鱗を重ねた腕はそれをすり抜けメシアを捉えた。



背中から吹き飛ぶと飛び上がったメシアは怒涛の攻撃を仕掛けた。

自動で防ぐ鱗、当たると熱で溶けていくが亡霊の盾の役割は果たしていた。



メシアは舌打ちしてスノウの方を見る。

「やっぱり厄介なのは、君だよねぇ」

スノウを無傷で国の外に出して今日まで守り続けた者。

グレイが寝返らなかったとしてもガルムの四天王でも倒しきれたかわからない女、それがミスティだ。





亡霊に殴り飛ばされただけに、亡霊とサンタナには距離が空いている。

気がつくと倒れているスノウを介抱しているミスティの背後にいた。



「あんま女に手をあげるのは好きじゃないけどーーー





ヨッ!!!!」





刀の頭でミスティのこめかみに叩き込むと、血が垂れた。

スノウはその姿に、痛みを忘れて叫んだ。



亡霊も舌打ちをしながら、勢いよく飛び込んだ。

ミスティの被弾の原因は亡霊に鱗を回しすぎた上で、自動防御する鱗も亡霊に貸し与えていたからだ。



自分のせいでミスティは地面に倒れた。

亡霊の脚も限界をとうに越えていたが走らざるを得なかった。

しかし、それを見切ったメシアは亡霊のもう片腕を切り落とし、胴体を蹴り飛ばす。



ミスティの鱗を亡霊に貸与している条件は亡霊の斬られた腕の周囲に存在する、である。

亡霊を蹴り飛ばして距離を取れば怖るものはない。



亡霊の全身の傷口が凍っていく。

「!!!!?!??!!!!」

声にならない、傷口が塞ぐが体内が痺れ、視界が暗くなる。





「ぼ、亡霊…!!!」

サンタナが声をかける。

手足が冷たくなる、サンタナの顔も冷えていく。



刀を天に向けたメシアは呟いた。

「…レベル2、この部屋は冷凍庫の中と同じだ」



薄れいく意識の亡霊、頭から血を流すミスティ、倒れこむバンビ、永らく動かないグレイ、ミスティから処置を受けたが左腹部を貫かれたスノウ





「どうしたもんかな」

サンタナは顎をさすった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ