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ファンタズマキア  作者: 9489
2章「ようこそH.C」
16/51

stay

[研究室]

亡霊は任務をこなして、アルマの調整を受けていた。

ユティと相談をしながら操作感を試し、そのデータを取って微調整する地味な作業だ。


「亡霊の操作技術に、アルマがついていけてないね。本来の力を発揮できていない状態にあると思うの」

「そうか・・・」


スーツも新規のものを支給されたので、メインウェポンが旧式のものとなっている。


HCの潤沢な設備もあって装備の改修が出来るのは今までにないメリットだった。

亡霊は手に銀の筒を持つと

「これも何かに使えるといいけど」


天使部隊のスタン銃。塀の中に来る際の戦利品。

遠距離に対するアプローチとして有用だと感じているが

「それを組み込むには時間がかかるから数日は使用できないよ」とユティは返した。

HCに属して3週間。

まだマジェスタから信用を得る時期だ。

任務も率直にこなしているタイミングなので今数日使用できないことは痛手と感じた。

「今回はやめておくよ」



すると1つの気配が近づいてきた。

「よう亡霊、元気してるか」

HC社長、マジェスタだ。


一言挨拶を返すと、マジェスタから

「強くなるのはいいことだ」続けて

「一回俺と手合わせしようぜ」



HC社長、普段は戦闘に参加しないが口ぶりから修羅場を潜ってきたことは想像するに容易だ。

でも、と返すと

「本気で来い、手加減は無しだ」


開けた白くて長方形の部屋。

訓練場として使用されている場所へやってきた。


互いに向き合い、得物を構える。

マジェスタのアルマ「guilt/no Guilt」

天使部隊の電磁銃だが、口径が大きい上に二丁携えている。

遠距離が得手だと推察する。


亡霊のリーチは中距離。

しかし中距離の物理攻撃である以上、中距離を維持すれば勝てる。

そう考えて亡霊は駆け出した。


リーチの範囲内に入ると静止し、腕を伸ばす。


「この気迫、ピリピリ感じるな」

迫る手に銃撃するマジェスタ。


銃弾程度では押し切れないが、寸でのところで回避をする。

余裕がある、そう感じた亡霊はもう一つの腕を伸ばし、荒々しく攻撃する。

バックステップでマジェスタが避けると少し距離を離された。


リーチがわかっている、と察して再度手を伸ばす。

それをいなしながらマジェスタは語り掛ける。

「亡霊、お前も修羅場を潜っているな」

「だがお前はゲリラ的戦い方しかできない」


ゲリラ的戦い。

亡霊の戦いは主に建物や瓦礫がある市街地戦。

アルマの特性上、リーチを誤魔化したり、遮蔽物を駆使した搦め手を得意としている。

それは今まで野良で戦って得た知見。


威嚇するように左手のクローを開き、マジェスタへ迫る。

すると前に跳躍して避ける。


それは想定していた、と言わんばかりに右のクローで追従する。


すると跳躍のまま翻り、銃撃を叩き込む。

衝撃で背中から地面に叩きつけられるが、バウンドして体制を立て直す。


「お前は賢い、その分人の行動の裏をかくような戦い方が染みついている」


止まらず前進。


「疾――」

と亡霊が感じる頃には距離を詰めている。




「――こういう不足の事態に弱い」



銃を額に突き付けられた。


「俺の武器から遠距離主体だと思っていた」

それは間違ってないと言い

「ただ捨て身から間合いに入られた時の対処が薄い」


マジェスタの位置を見ると、亡霊の中心から少し左に位置していた。

亡霊は右利き。咄嗟に出せる近接技が右足の蹴りと想定したケアも想定していたのだろう。

事実、亡霊は腰のスタン銃に右手をかけていた。


「お前が強いのはわかっている」

「が、お互い拮抗している場合の対応手段が無いままだな」

「まぁ戦場でそういうことは稀だが、お前の課題はそこになるだろう」



近接に対するアプローチ、伸びきった腕の誤魔化しでやってきたが相手の捨て身も頭に入れておくべきだ。


「あー疲れた」と汗を拭き、

「シックスやエイトと訓練した方がいいな。あいつ等は愚直なほど近接だからよ」


別室で見ていたシックスとエイトがやってくる。

「いい戦いだったな、じゃあ俺らとやっていきましょう」

「兄貴に毎日しごかれてるから仲間が増えて嬉しいよ!」


まだだ、まだ進化の過程だ。

そう考えて亡霊はフッと笑った。






数日後。


「亡霊、蹴りの意識が甘いぞ!」

「くっ」

「隙あり!ってええ!」

「――それぐらい読めているよエイト」

「痛ぁ!」



そこから2週間、何もない日は3人でぶつかり合った。

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