表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタズマキア  作者: 9489
2章「ようこそH.C」
14/51

PRIVATE

夕方に目を覚ました。



疲れてそのまま眠りについたのか、

そこそこ上質なホテルのため、ベッドの機能で寝ている間に身体の汚れを取ってくれたそうだ。



応急処置もされている。

切れた口も液体薬品でゆすいで治りかけだ。



そしてベッドの側に立てかけたアルマをさする。

片腕が砕けてしまったんだよなぁ。

ここまで連れ添った相棒を哀れんで撫でた



ベランダから街の風景を見る。

ホテルの敷地内に入ってくるエイトを見た。



エントランスに向かうと、エイトが話しかけてきた。

「昨日はありがとな、いきなりでごめんよ」

欠けた亡霊の片腕を抱えていた。



エイトはこれを探して持ってきたみたいだ。

「細かい破片は拾えなかった、これで満足してくれよ」

亡霊はお礼を告げて、受け取った。



「そろそろ集会だから、一緒にいこうや」

昨日来たビルの1階、昨日は気付かなかったがBARだった。



中には15人程度、既にサンタナ達の姿もあった。

「こっちこっち」手招きするまま席に着く。

このBARは今朝椅子に座っていた男の経営する店のようだった。



合鴨のアヒージョ、

ロブスターのパエリア、

フライドポテト、

フライドチキン、

カプレーゼ、

マルゲリータピザ、

ベーコンチーズピザ、

ボロネーゼ、



並んだご馳走に圧倒された。

サンタナは「これ全部マジェスタさんが作ったらしいぜ!カクテルも美味しいし凄いよ!」

女性陣も満足げな顔をしている。



「さて、改めて。この組織を束ねるマジェスタだ。よろしく頼むよ」

ちらほらと拍手が上がる。



「本当はこんな事したくないんだけど平和に生きていけない世の中じゃんね、だからこうして集まって治安を守っていきましょ!つーわけ」

飄々と話すが、意思が聴き取れる。



「細々とそういう活動してるわけだが、本格的に抗争もやばい中で新しい仲間も増えた。これを機に秘密結社としてなっちゃお!ってわけ」



おいおいと明るいヤジが飛ぶ。



「いーじゃんかよ、民間軍事会社。戦えない市民のために戦う(つるぎ)。思ってるほどこの世界綺麗じゃないぜ〜!」



この男、態度は軽いがなかなか尖った性格なようだ。





「ま、そういうわけで俺たちで俺たちの理想郷を手に入れる。だから俺たちは今日からヘレナ・コーポレーションのメンバーというわけだ!!」



代表挨拶を終え、各々が自由にBARの中で過ごす。



すると、マジェスタがこちらに話しかけてきた。

「君たちは災難だったね。

サンタナからある程度は聞いたよ。君は足のアルマで蹴り技が凄いらしいじゃないか、是非その力を我々のに貸してくれ。

君は凄腕のメカニックだってね?我が社は設備は充実してるし開発部署があるから、そこを自由に使ってくれ!

そして君だね、背負っているものが大きすぎるな。力添え出来るのであれば我々も手伝おう」



饒舌だが何か見すかすような口ぶりだ、

どこまで見えているか不思議だが、悪い人ではなさそうだ。



忙しくまた何処かへ行った。

全員に挨拶回りをしているようだ、律儀な人だ。



周りを見渡すと奇抜な人たちだらけだった。

顔の見えないもの、髪の長い男、声のうるさい男。



こうして会を終えた。

当分はマジェスタの行為でホテルに住めるそうだった。





次の日。



開発部署にユティとエイトと向かった。

傷付いた相棒を戻す為に。



数人が白い部屋で所狭しと機械を弄っていた。

エイトの案内で設備を見て回る。でもエイトもメカニックではないのでそこに居る技術班が説明していた。



「俺バカだからわかんねぇわ」と彼はおどけてみせた。



すると昨日やマジェスタと初めて会った時に側にいた男もいた。

「シックスさん!!」



「おー、エイトじゃんか。すっかり女の子連れて楽しそうだなぁ!」

「違いますよ!俺が見つけたやばい男のアルマを直そうと思って!」



…微妙に会話が噛み合ってない気がするが、割って入るほどでもないだろう。



「君、眼怖いねー!だいぶ潜ってきたでしょ、エイトとは眼が違うからさぁ!」

「ちょ、兄貴!」

この二人は仲がいいんだろう。

だが並々ならぬ気迫が消しきれてはいないが。



「ところでシックスさんはどうしてここに?」

「あー、任務前でさ、武器の調整しようと思っての〜」



すると背中から伸びた大きい剣を取り出す。

軽く稼働させると、刃の部分が水色に光った。



アルマが発達してるとはいえ、武器が発展してないわけではない。

塀の外では流通していないだけで、塀の中から来た天使は銃を持っていたように。

だが刃がない分、鈍器としての側面が大きいようだ。



「ばかいっちゃぁいけめーよぉ!俺のこの剣はアルマに劣っちゃいねーよぉ!あといちおー足にはつけてるよ!」

本当だ、足には付いている。




そうしていると、ユティが

「後はわかった、修理するどころか更に強くなれる!」



ここ最近気付いた事だが、『doxa』で戦い続ける事に限界が来ていた。



当時の最新鋭だが、8年経った今では末端の秩序の兵器と同等。

ヒルコや悪魔など、技術の溝が埋まった時に生死の賭けた戦いに発展してしまう。



マジェスタの研究室。

ユティのいうには脳波を利用した操作技術もここでは既に実践級となっているようだ。

最新の技術だが、空間認識の適正があれば、複雑な操作を覚えなくても高度にアルマを使用できる。



ここで気付いたが、亡霊の着けている強化スーツは此処だと少し前の技術らしい。

一日置きに30分の充電をしているが、1週間に1度、3分間の充電で今の5倍の衝撃に耐える。

出力も2倍になっているらしく、早速支給された。



ヘレナ・コーポレーション、通称H.Cでは総員これを着用しているそうだ。

兵器開発部門の弛まぬ努力でトータルのスペックで市販品の2倍の差はあるそうだ。


今でこれだから中心部はどうなっているんだろう。

亡霊はふと思い出したくない事を思い出して、考えるのをやめた。





次の日。

4人全員にスーツを渡される。

自分の使ってたものよりスムーズに着れる。



軽く腕を振ると、小さい穴からパシュッと蒸気が漏れる。

膝もそうだ。今まで以上にスムーズに動く。



そして片耳式のイヤホンを渡される。

「これからは組織に属するわけだ。仕事として任務をお願いする」

「協力してくれる間は、仲間として衣食住を提供しよう」

「連携が必要となるからよろしくな」



マジェスタが矢継ぎ早に話す。

つまり簡易的な入社式というわけだろう。

3つあるボタンを触り、受信感度をいじる。



「無線を使って連携を取るのはいいが、やり過ぎるとプライベートなことも聞かれるのもいやだろう?ある程度ON/OFFは任せるよ」



「長めにボタンを押すと強制力のある発信となる。主に全体発信で使うなぁ。誰かが喋っているときに話すとコミュニケーションも混雑するだろ?ルールとしては話し終わるまでは待ってな。あと名前を名乗ること!」



そして、と伝え

君達はいつでも同じ仲間で仕事するわけではない。

ある程度は俺の方で割り振るからヨロシクと伝え部屋を出て行く。



携帯の端末を覗くと1つ目の指令が来ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ