阿寒湖
阿寒湖
祖父母と記念写真を撮り、3日目は阿寒湖へと向かう予定だ、国道274号線を東へ日高山脈を越え清水町へと向かう、今ではこの道も高速道路ができており足寄まで繋がっていると言う。
当時は全て下の道、特に日高山脈は峠道であり荷物をたくさん積んだバイクには少々きつい山道だった。
しかも天候は徐々に下り坂、山の上は霧のような雨が降り急遽カッパを着込んで走ることに。
途中にPAとお土産屋さんが有るが、俺たちは小休止しただけですぐにその先へと進むことにした。
北海道の道路は滑りやすい、それは冬道路が凍結するのを防ぐためアスファルト、いわゆるコールタールの分量を多めに使用しているからだ。
現在は改良されていると思うが当時雨が降るとブレーキを掛ける時には注意が必要だった。
特に雨が降った時は路面の轍に雨水がたまりコールタールの性質で水はけが悪いからだ。
過去にそのせいでスリップ事故が多発していた時もあった、北海道は直線も多いためスピードは知らぬ間に出てしまう、さらに雨のせいでスリップしやすいとくれば事故が起きやすくなっても仕方がない。
よく直線で何もないのに事故ったと言う話を聞くが、多分雨の日にブレーキ操作を誤りそのまま田んぼへ突っ込むと言うのが真相なのではと思う。
ちなみに道東へ行けば分かるが、道路標識に鹿の絵が描かれていたりする。
雨の日だろうが霧が出ている時だろうが彼らが道端に出て来る可能性があるのを忘れてはいけない。
「今日は寒いな」
「おとといは暑いって言ってたのにな」
「仕方ないだろ、まさかホテルでクーラーが無いなんて思わないだろ」
「しかも窓には網戸もないなんて?」
「ああまさか虫に刺されるなんて思わないだろ普通は…」
北海道は南と東に分けて言う事が多い、道北とは言わない。
それはこの地区の気候も含めての分け方なのかもしれない、道南・札幌から函館にかけての地域を言う、夏は全体的に気温も温かいが十勝平野の近くは風がやや強い傾向がある。
道東・富良野から釧路そして知床までを指す、この地区は道南と比べると気温もやや低い、そしてライダーなら知っておくべき注意点は日高山脈の右と左では天候がまるっきり逆になると言う事。
札幌でいくら晴れていても帯広では雨と言う事が普通であり、しかもいったん雨が降ると気温は10度前後まで下がることも有る。
そして野生動物は道東に行けばいくらでも見られる、ちなみに過去に鹿とキッスをしたライダーは腐るほどいると言う話を聞いたことが有る。
直線ならば道に鹿がいることが分ればスピードを落とすが、そこが山道だった場合事前に鹿がいるのは分からない。
バイクの音を聞いて逃げるのは大人の鹿ぐらいで、小鹿になるとそのまま道路に居座りこちらが脅かさない限りは去ってくれないときもある。
そしてキツネ、彼らはわざわざ道路へと出てくる、それは旅行者が餌をくれるから。
観光旅行で北海道へ行く、そして景勝地で立ち寄り道端で狐と出会う、そのまま写真だけ撮って立ち去ればよいのに餌をあげてしまう人は腐るほどいる、そしてキツネは餌を求めて危険な道路へと出てきてしまうのだ。
昼間ならば気付くかもしれない、だが夜になればそこに狐がいることがすぐわかるわけでは無い、危険度の低くなった道路へ夜間狐が徘徊すれば、轢かれてしまう事はすぐに考え付く。
過去に友人も餌をやっていたことが有り俺は注意した事が有る。
「やめておけよ、野生動物にエサをやったらだめなんだぞ」
「大丈夫だよ少しぐらい」
この軽い考えが人間のエゴだと知らずにまるで自分たちが施しをあげているかの如く餌をやる奴はいくらでもいる、まあ彼はその後餌をやらなくなったが。
姿かたちがかわいいからと野生動物をペット化するのは止めて欲しい。
この日泊ったのは阿寒観光ホテル、そして昼飯はエゾ千(今はもう無い)というお店で摂ることに。
この店で食べられるのは鹿の焼肉だ、ちなみに鹿の肉はさほど癖もなく食べやすい。
北海道で食べられる肉の種類は本州の倍以上有ると言う事を知っているだろうか?
牛豚鳥、そして羊さらに馬、これらはスーパーマーケットでも売られている。
鹿、トド、熊 そうトドの肉と熊の肉、東京ではお目にかかれないこの3種類の肉。
ちなみに鯔と熊の肉は漬けで食べるのが普通だ、多分臭みが有るのではと思う。
鯔の肉はクジラの肉に似ており、こちらは独特な味がする。
そして熊の肉、この肉も漬けで食べる場合がほとんど、肉質はやや硬く嚙み切るのに少し難儀するが、漬けで食べる為不味くは無いと言うだけ。
鯔と熊は知床に行けば食べられる店がいくつかある、だが今は知床も世界遺産になった為熊の肉や鯔の肉が食べられるかどうかはわからない。