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御茶ノ水駅前通り

御茶ノ水駅前通り


見事なほどカラフルなスキーの板とブーツが店頭に並び、その圧倒的な量でスキーファンを虜にする。

3割ほどが季節レンタルのお店の様で、いくつかのお店ではセット販売の商品のみを取り扱っているようだ、中には4点セットで19800円と言う格安の商品もあったが。

そちらはよく見るとキッズ用だったりする、大人用は+1万円が相場らしいがそれでもお安いことは確かだ。


「すごい数だな」

「ああこの通りは毎年こんな感じだよ」

「剛士は毎年来てるのか?」

「そうだねシーズン前に一度は来るよ、値段もあるけど家の近くでは買えない商品が多いからね」


今でこそ輸入品のスポーツ用品は普通に売られているが当時は輸入品と言えば国産より2割ほど割高だった、もちろんスキー用品はヨーロッパ製が多い。


「そういえばお昼まだだったよな」

「あ~思い出したまだお昼食べてない」

「じゃあ、この先に喫茶店があるからそこに入ろう」


スポーツ用品店の一角から少し歩くと坂を上るように別の道へと入っていく、その通りからは又別の店が並んでいる、その通りには楽器のお店が並んでいた。

少し歩くと喫茶店があり中には楽器やピアノも置いてある。

少し場違いな雰囲気がしたが、中に入るとこーおひーの香りと、ジャズミュージックが3人を迎えてくれた。


「なんかいい雰囲気だね」

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

「3人だけど」

「ではこちらの席へどうぞ」


フロアには小さいながらステージがあり楽器が数点置いてあった、私たちはステージのさらに奥の右側の席に通され腰掛けるとすぐにウェイターがメニューを差し出し告げる。


「ご注文がお決まりでしたらお知らせください」

「はい」


俺たちはメニューを手にし本日のランチメニューを見てみる、そこには地元の喫茶店では見られないおしゃれな言葉が と期待したが、そう言う事はなくごく普通だった。

どこが違うかと言うと夜の飲み物の方が結構充実していたことだ。

ランチは普通だったが、ほとんどがオリジナルと言う文字があり、俺はいつも喫茶店に入ると頼むことにしているピザトーストを注文。

ミクはナポリタン、剛士はクラブハウスサンドイッチを注文し、飲み物はアメリカンコーヒー2つと紅茶を一つ。

約10分ほど待つとほどなくしてオーダーは運ばれてきた。


「竜ちゃん好きだよねピザトースト」

「ああ、本当はチーズトーストで良いんだけど、店によって無い場合が多いから」

「ふ~ん」

「ミクだってナポリタンに粉チーズ沢山かけるでしょ」

「そうかも、溶けるチーズより粉の方が食べやすいんだもん」


そんなことを話していると、そのうち話の内容は来週のスキーのことになって行く、長野県白馬スキー場八方尾根。

手前のゲレンデ以外はほぼ上級者用だと言う話。


「じゃあ最初は剛士君に教えてもらおっと」

「良いよ、でも最初に教えることはそれほど多くないよ、それよりも実際滑った方が楽しいし」

「ふ~ん」

「一応、パック料金だから一日券が2日分含まれているし多分1日で滑れるようになれば2日目はかなり楽しめるよ」


剛士の目から2日目のワクワク感が伝わってくる、確かに彼はすでに上級者になっていそうだ。

多分上級用のコースへ行きバンバン滑ってくる予定なのだろう、そしてそこには洋子ちゃんも居たりする。


「剛士君楽しそうだね」

「ああ1日目は付き合うけど2日目は洋子ちゃんも自由時間があるって言うし」

「一日目のナイトスキーは滑らないのか?」

「えっ?あ~それはまだ考えてないか な」

「りゅうちゃん違うよ、多分夜は…」

「な 何もないぞ別に」汗…


何か怪しいと言うか、多分初日の夜に剛士は何か計画しているのだろう。

まあ2人共に成人しているし、春になれば就職も待っている。

洋子ちゃんは後2年学生だが、先に社会人になり仕事を始めてしまえば剛士の事だ、まじめに勤めあげるだろう。

その前に思い人にプロポーズでもしようと言うのかもしれない、俺とミクは剛士の慌てぶりを見て顔がにやけてきてしまう。


「へ~そうなんだ、まあ夜は俺もミクと過ごすから頑張って」りゅう

「頑張ってね」ミク

「な 何をだよ、別に何もないし」


実に分かり易い、目が泳ぐだけでないごつい顔の頬まで少し赤らむのだから。

あまり聞きほじると、彼は恥ずかしさのあまり行動をストップさせてしまいかねないので、これ以上聞くのは野暮と言う物。

俺とミクは顔を見合わせるとそこからはあまり夜の話はしないことにした。

出てきたランチをきれいに平らげると支払いを済ませ剛士の買った板を取りに行く。

俺とミクが買った靴はすでに車に乗せてあるのであとは板を乗せて帰るだけだ。


「板できてますか?」

「はいできてますよ、こちらですね」


見ると剛士の身長よりさらに20センチほど長い板、表面にはメーカーの名前と流麗なラインが刻まれ、いかにも上級者と判るようなデザイン。


「カッコいいね」ミク

「やっぱりそう思う?」

「うん モテモテだね」


ほめられ慣れていないのかすぐに頬が緩む剛士、だが俺が見てもその板はかっこよかった。

受け取るとすぐに板を車に積み込む、普通の車ならばスキーキャリアをつけなければ乗せられないほど長い板だが、剛士の運転してきた4WDは長い板でも楽々室内に積むことが可能だ。但しリア座席を一つ折り畳む形になるが、この車は中で寝ることも可能なので、夜出発して車中泊し日帰りスキーをするなんてことも可能だ。


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