2回目は1か月後
2回目は1か月後
初めての限定解除の試験は惨敗で終わった、即日予約を取ったがそれは普段の日のため、学校を休むかもしくは午後授業の日を選ばないと受けには来られない。
そのため次の受験は1か月後になってしまった。
「どうだった限定解除?」
「どうだったも無いよ、一本橋と波状路で終わりだった」
「そうか…俺も昔の友人から聞いたがかなり難しいと言っていたな」
「ああ中免の時とはえらい違いだよ」
「でも次の予約は入れたんだよな」
「そりゃ入れるだろう」
「受かると良いな」
「それでさ、頼みがあるんだけど」
頼みと言うのは、バイクを貸してほしいと言う事。
もちろん公道を走るためではなく、駐車場か空き地で練習するために貸してほしいと言う事。
「あ~それは少し難しい相談だな」
「やっぱりダメか?」
「いやそういう事じゃないんだよな」
「何か問題でも?」
その口から語られたのは本当に残念な話だった。
「おれもうバイクを降りようと思ってんだよ」
「マジかよ、じゃあツーリング行けないじゃん」
「すまん」
「じゃあバイクは売るのか?」
「ああそのつもりだよ」
「それちょっと待った!」
「どうした?」剛士
「俺に売ってくれ!」
そこからは怒涛の説得、もちろん金額の交渉だが、走行距離は1万と少し安全運転のため外見は傷なしコケなし、そして車検も1年残っている。
俺はその日家に帰るとすぐに自分のバイクの査定をしてもらうため近くのバイク屋さんへ。
粘りに粘ってようやく15万で売ることに決定、だがこれを売ると乗るバイクは無いと言う事に。
バイト料をためていずれ買うはずだった750cc、本当ならば新車を買うつもりでいたのだが、新車はこの頃でも初期費用含めれば50万はくだらない。
そして俺は彼のバイクを35万で手に入れることにした、この頃のアルバイト料金は時給700円ももらえればかなり好待遇。
平均で時給615円ぐらいだと記憶している、一日どんなに頑張っても5千円稼げるかどうかと言う所。
ツーリングの回数を減らしてできるだけアルバイトを入れ、貯金10万ホークを手放し15万、必死になって俺はあと10万を稼ぐことにした。
「いよ! 久しぶり」高志
「おおほんとに久しぶりだな」
「バイク売ったんだって?」
「ああ」
「聞いたよ剛士バイク下りるって」
「ああだから売ってもらうことにしたんだ」
「免許なくても大丈夫なのか?」
「譲渡に関しては問題ない、新車を買うなら別だけどな」
「ふ~ん、でも当分乗れないんだろ」
「ああ、だから買った後も剛士のところに預けておくことにした」
「剛士に乗せてもらって空き地に行くってことか?」
「その通り」
俺の計画は剛士任せなのだが、彼もそれを了承してくれたので今のところは問題ないだろう。但し、彼の親は剛士をバイクに乗せたくないのは確実であり、できればすぐにでもバイクを俺に持っていってほしいようだ。
そうなると今免許がない俺としては親に断りを入れて家の駐車場に置く以外に方法がない。
いつ受かるかわからない乗れないバイクをカバーをかけたままおいておかなければいけないのだ。
それを了承してくれる親などこの時代にはほとんどいないはずなのだが…
一戸建てだが駐車スペースにはバイクを置けるぐらいの隙間はある、そしてそれはすぐに現実に。
「やはり持っていけって言われたよ」剛士
「そうか仕方ないなうちも親に言っておかないと」
親はホーク250ccがなくなって安心したのか、喜んでいたのだがそこに750を入れるとどうなるか。
まあ反対されるだろうことは想像がつく、だがそう今は乗れないバイクなのだからそこを強調することにした。