イルカショー
イルカショー
水槽を全部を見て回り、時間がきたのでイルカショーの会場へと足を運ぶとやはり同じように見に来る人がどんどん席についていく。
ちょうど客席の真ん中の場所に陣取り開園時間を待つ、イルカのショーは今ではどこの水族館でも見られるがそれぞれに特色がある。
イルカも何種類いるのかは分からないがこの水族館のショーでも数種類のイルカに芸を覚え込ませているらしい。
そして今度はオットセイの妙技、投げ輪やボールを使った芸はどうやって教え込むのか不思議だが、あのたどたどしい動きがかわいらしく見えるのだから。
「かわい~」
「面白いな」
パチパチパチ
約1時間のショーが終わりちょうどお昼時になったので園内にあるレストランへと入っていく。
「かわいかったね」
「そうね」
「洋子ちゃんはあまり好きじゃないみたいだね」
「私生き物を檻で飼ったりするのに抵抗があるのよ、だから動物のショーには少し嫌悪感があるわ」
「そうなんだ、でもこういう風に見せることで生き物を知ってもらい彼らを保護することに同意してもらう事には役立つんじゃないかな」剛士
「確かにそういう見方もあるわね」
「じゃあ犬や猫を飼ったこともないんだね」
「いいえ家には猫がいるわ、捨て猫を弟が拾ってきたから」
「もしかして反対した?」剛士
「ええかわいそうだけど生き物を飼うのに私は反対の意見だったから」
「俺は必要なことだと思う、飼うのではなく知ってもらう事のためにはね」
「それは分かるわよ、でも私にはかわいそうに思える」
「個人の意見は様々だ、全て同じではないからね、でも賛否は全て知ったうえで判断しないといけないような気がするな俺は」
「二人とも難しい話してる」ミク
「あ~ごめん少しナーバスになってるかも」
「もしかして洋子ちゃんって考え込む人、まあ昔からそんな感じだったよね」りゅう
「そうよ、考えこんじゃうタイプなのよ」
「じゃあ少しこっちにも分けてよ」剛士
「…なんで?」
「一人で悩むより二人で悩んだ方が早く解決するだろ」
「そうかもしれない、じゃあそうするわ」
少し暗い雰囲気を醸し出した洋子ちゃんではあるが、どんな時でも真面目に考える性格の人は必ずいる。
もちろん彼女は場を濁してしまう事も分かっているのだが、それを推してでも今自分が抱えている疑問の答えを出したいと思ってしまう。
彼女の相手をするには同じような、疑問を一緒に考えてくれる人でないと難しいだろう。
ここまで考えて、少し剛士には悪いなと考えてしまうのだから俺も少し甘いのだと思うが、実はすでにこの二人の感情はお互いを認めあっていたりする。
恋愛とはラブだけではなくお互いの考えをこすり合わせることも必要なのだ。
本音を語り隠すことなくお互いの本音を言い合う、その第一歩はどうやらうまく行ったようだ。
「ところでこの後はどうする?」
「もう1時か、じゃあ町に出てお土産買うか」
「それでいい?」
「うんいいよ」
「同意、でも何を買えばいいの?」洋子
「私に任せて」ミク
軽く食事を摂った後は水族館を出て下田の町を散策する、水族館の駐車場に車を置き町へ出ることもできるが、そうなるとまたここへ戻ってこないといけない。
水族館から町までは歩いて10分ぐらいだがお土産を持ってくることを考えると町へ移動しておいた方が良いだろう。