プランスホテル下田
プランスホテル下田
剛士が受付に寄るとすぐに宿泊者名簿に記入する。
「本日から2日間ですね」
「はい」
「では213号室と214号室で」
ん、そう本来一部屋で良さそうなところ彼は女子2名になると聞いて事前に変更できるか聞いておいてくれたのだ。
確かに俺たち3人は同級生だが剛士は洋子ちゃんとは初対面、いきなり同室ではどちらも恥ずかしいだろう。
「一応2部屋にしたから」
「おうサンキュー」
「それではお部屋に荷物をお運びします」
ボーイが2名カバンを2個ずつ持ち歩いていく、その後をついていく。
それぞれの部屋からは外の景色が。
「じゃあ後で」
とりあえずは無事到着したことをねぎらう。
「ご苦労様でした」
「いやいや横で女子の相手してくれたから助かったよ」
「まあそのぐらいはしないとだな」
「俺にはできないことだ」
「さてさてこれからどうする?」
時刻はまだ午後の2時、朝9時に出てきたので4時間と少しで到着したことになる。
途中で1時間ほど休みを入れたので、まあまあの時間だ。
「ああそうだ最初に宿泊費預けておこう、先に払っておいた方がいいだろう」
「確かにそうだな」
「じゃあまずは宿泊費3人分」
「確かに受け取った」
「交通費は後で計算かな」
「そうなるな」
「ああそうだ高志から餞別が出てる」
「なんだよあいつそんな事しなくてもいいのに」
「まあもらっておいて交通費にすればいい」
「そうだな」
「それより洋子ちゃん、どう?」
「えっ!」
「まあ数時間じゃわからないか」
「ああ俺にはそういう免疫はないから」
「俺から見ても洋子ちゃんは結構いけてると思うんだが」
「いや昔なら高嶺の花だろう、俺が通ってた高校にも彼女のような子はいたが容姿端麗は初めてだ」
「まあ気に入ってよかった、後はお前次第だからな」
「まあなるだけ恥かかないようにするよ」
「いや逆に俺は恥かいた方が彼女に対する印象は良いと思うが、まあ彼女の方がドジりそうな気もするから、どっこいどっこいかな」
「そうなのか?」
「ああいろんな経験をしているようには見えない、海だって初めて来たというし」
「そう言っていたな」
「俺はミクの相手でいっぱいだから離れたら後は頼むぜ」
「それは構わないが…」
俺の見立てでは剛士はかなり紳士的だ、親が医者だからか外見からは分からない育ちがにじみ出てくる。
多分幸田さんみたいなキャリアガールはこういうギャップに弱いと俺は見た。
まあ引き合わせた後は本人たち次第なのだから、後でとやかく言うつもりもないし。
それに幸田さんのことはさておき俺も剛士も、後半年もすれば専門学校は卒業になる。
それまでに有効な資格をどれだけとれるか、そして俺の場合は2級建築士がとれるかどうかが一番の課題だったりする。
「窓からの景色は最高だな」
「ああ、どうやらここは砂浜というより、磯場が多いようだな」
「まあ泳がないといけない理由はないから別にいいけどね」
「行くか?」
「ああ行こう」
俺と剛士は水着に着替えるとタオルを片手に海へと出ることにした。
ホテルから海へは階段を少し降りるような形になる、さほど多くはない階段を下っていくと白い砂の海岸が目の前に現れて、透明度の高い海の色がこの海岸は先に行くとすぐ磯場のようになっているのだと分る。
まあ水際での水かけではしゃぐことぐらいなら可能だが波もそこそこあるので、泳ぐには向かなそうだ。
ホテルにはプールもあるようなので、泳ぎたい人はそちらへ行った方が良いだろう。
一応下は水着に着替えたが上着はTシャツを着て行った。
「良い風が吹いている」
「やや高めの波だな」
「明後日台風が来るならこうなるだろう」
「お ビーチベッドがあるな、少し借りるか」
俺たちはパラソルの下に設置してあるビーチベッドに寝そべると、そのまま日光浴することにした。
「彼女頭良さそうだな」
「ああ、俺の知る中では一番だ」
「そうか」
「まあだからと言って相手も頭が良くないといけない訳じゃないからな」
「俺のことを言っているのか?」
「俺と話を合わせられるのだから頭が悪いとは言わないが普通だろう」
「確かに俺たちは普通だよな」
「まあだからと言って相手が才女だろうが普通だろうが関係ないと思うぞ」
「確かにな」
「幸田さんは昔からミクとはよく話していたから、彼女の中にお友達に対しての偏見はないと思う」
「そうか…」
そこへ水着に着替えたミクと幸田さんがやってきた、今までに何回か見ているがミクのボディは水着を着るとさらに際立つ。
足の長さと手の長さそして胸の大きさなどは他の女性と比べたら月と鼈と言えるぐらい。
だがその後ろから歩いてきた幸田さんは、背の高さもあるが眼鏡さえかけなければモデルのような体型だった。
俺と剛士はしばし2人を見て硬直してしまう。
「りゅうちゃんH!」
「え? 何言ってんだよ、もう見慣れたよ」
「そうなんだ」ようこ
「剛士君も洋子ちゃんに見とれすぎ」
「いやきれいなものを見て、見とれるのは仕方ないだろう」
「き キレイ…」ようこ
アッと思った時にはすでに遅し剛士も洋子も真っ赤な顔をして顔をそむける。
俺は黙ってベッドから起き上がり幸田さんに腰掛けるように勧める。
「俺たちは散歩に行くから2人でお話よろしく~」
俺はミクの手を取ると海辺へと小走りしていく。
「まってよ~」
まあそれで進展するかはわからないが、雰囲気は最高だろう。
まさか「きれいだ」なんて本人の前で言っちゃうんだから、ナイス天然と言っておこう。
「りゅうちゃん、洋子ちゃんと剛士君をくっつけようとしてる?」
「できればね」
「そうなんだ」
「剛士は良い奴だろ」
「うん竜ちゃんより紳士だよね」
「それは聞き捨てならないんだが」
「だってすぐに手を差し伸べてくれるし、恩に着せないし」
「いつ俺が恩に着せたと!」
「たまにしてやったんだって言うじゃん」
「そうしないとミクは感謝してくれないからな」
「してるよ~感謝」
「じゃあ許す」
海岸沿いを2人で端の方まで歩いていく、遠くには大島その手前には大型の輸送船がぽつんと見える。
俺はミクと手をつなぎ海辺の冷たい水を足に浴びながら歩いていく。
「ねえ竜ちゃん、昔洋子ちゃんって高志君のこと好きだったの知ってた?」
「それは初耳だ」
「高志君が私と竜ちゃんの間を取り持つ代わりに高志君に洋子ちゃんを紹介していたんだよ」
「そうか、そういう事か」
要するに友人同士でうまくペアになれれば楽しい学生生活を送れるだろうという話なのだが。
高志が好きなのは俺の感だが、それはミクだったのではと思う。
多分洋子ちゃんはそれに薄うす勘づいていたのだろう、だからそれほどこちらには入ってこなかった気がする。
まあその後高志もほかの女の子と付き合っていたこともあったし、洋子ちゃんは進学で忙しくなっていたから。
高志と付き合う所まではどちらにせよ行かなかったと思う。
「高志には悪いことしたか」
「ううん、今は洋子ちゃんも好みが違っているし、最近はあまり会ってなかったから」
「そうだなミクは俺とばかり会ってたもんな」
「そうだよ~でも剛士君ならお似合いなのよく気づいたね」
「まあね、だからと言ってうまくいくかは本人たちの気持ち次第だけどな」
「大丈夫だよ、少し奥手な感じがするけど2人とも」
「急いでいいわけでもないからな恋愛は」
「え~そうかな~」
そういいながら俺の手はミクの肩を抱き寄せる、かなりホテルのある場所から歩いてきたので人もほとんどいなくなっている。
そして久しぶりのキスをする。
クチュ
「ん ん」
もしかしたら剛士と洋子ちゃんからも見えている可能性があるが、あの2人には少し自分たちの行為を見せておくことで先に進んでも良いのだと印象付けておくことにしよう。




