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個人教授

個人教授


母は友人の紹介で個人の自動車教習所へ行く事を決めた、そこに俺も便乗する形で通うことに。

若い時とは違いそこそこ年を取れば中々物覚えも楽ではない、教習所の料金はこの頃15・6万円と言った所だが。

聞いた話だと結果として免許を取るまで30万かかったという話がある、要するに教習時間が倍かかったということ。

それならば個人教授で最初に金額を決めて取れるまで教えてくれるところに頼んだ方が良いということになる。

但し今回2人分で40万の教習料を支払うと言う事になった。

勿論全額とは行かないが俺の懐からも750を買うための資金が少し出て行く。

後日母親と一緒に個人教授の先生とやらが運転する車に乗り個人で利用する仮免許練習場へ。

そこは日野市に流れる川の河川敷に有る、今でもたぶんあるだろう。

都内にはここと後数箇所しか個人教授専門の貸しコースは無かったと記憶している。

まずは母から貸しコースを使った練習が始まる、なんともゆっくり、確かにこの進み方では通常の教習所では何時間もオーバーしてしまうだろう。


「どう?」

「もうなんだか体が思うように動かないわ?」

「いえいえお母さんまだマシな方ですよ、最初にクラッチを使った発進を出来ない人が殆どですから」


そういえば待合で見ていた限りでは母の車は数分で、ゆっくりではあるが進んでいたような気がする。

約1時間もすると結構なれてきたのか、S字路クランクそして縦列を何とかこなし出発地点へと帰ってきた。


「車って何でこんなに大変なのかしら」

「そりゃ仕方ないよ」

「さあ今度は息子さんの番だね」

「はい」


おれはバイクで慣れているから短制動や波状路そして坂道発進はお手のもの、クラッチの繋ぎ方もコツさえ覚えてしまえばなんて事はない。

1時間もしないうちに出発地点へと戻り、今日の練習は終了となった。


「君は次にコース内練習終ったら仮免の試験しても大丈夫そうだね」


個人教授の場合仮免の試験は運転免許試験場にて行なう、そうバイクの一発試験で通った試験場だ。

そこで自動車の仮免許を貰う為の試験を受ける。

単純に母の教習を重視して俺はそこそこ出来そうだから時間を短縮して試験受けちゃえば?ということらしい。

確かに受かるまでの請負なので早く受かってしまえばこの先生に入る金は丸々美味しくいただけるわけだ。

まあ母がどれだけ練習時間がかかるのかは解らないので、なんともいえないが。

この時、練習所で練習したのは3回で3時間と言った所だと記憶している、貸しコースは1時間千円から2千円なのでよくよく考えるとボッタクリな感じもするが、よく考えるとたった2ヶ月の間に俺がその先生について教習車を運転したのは5回だったと記憶している。


「じゃあ今度試験場で仮免の試験受けてみよう、君なら受かるよ」


楽な若者はさっさと試験を受けに行かせて、面倒な主婦に時間を掛けたいと言った所か。

まあ訓練にかける時間が少ないのはそれはそれで悪いことではない、だが自動車の仮免許を試験場で受けるのは結構難しいと言っておこう、結論としてこの後、試験場の仮免許試験は5回落ちる事になる。

貸しコースはほぼオープンスペースなのだが試験場の本コースは植木も街路樹もあり坂も本格的に作ってある、更にクランクやS字もちゃんと植木が植わっているのだ。

貸しコースに有る目印のポールなどは車庫入れと縦列の場所にしかないので、1回目はクランクで脱輪するのはお決まりの出来事。

3人が一組で受験車に乗って出るので、前の人が失敗するとかなりのダメージ、この順番も回数来ている人から始めたりする。

そしてようやく6回目にて仮免許合格、その後翌週に本免許試験の申請をすることとなった。


「りゅうちゃん自動車の試験も受けてるの?」

「ああ家の母さんと一緒にね」

「じゃあ車でドライブも行けるね」


確かにそうなるのだがこの頃、家にある車を共同で使っていたので好きに使えるわけではなかった。

家にある車は当時グロリアと言うおじさん車、まあ乗れればどんな車でもよいのだが。


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