バイクと彼女
バイクと彼女
クラスでも一番可愛いと噂されていた女子が、かなりしつこく俺に近寄ってきていた。
「りょうちゃん又バイクの話?」
「なんだよミク?」
「夏は私とも遊びに行くんでしょ?」
「そりゃ1日ぐらいは付き合ってもいいけど、それ以外は無理だぞ」
「え~ケチ」
「仕方ないだろ」
「じゃあ俺が穴埋めしてあげよっか?」
「高志じゃつまんないモン」
「なんだよおまえらのガードの高さは」
「止めとけバイクの金、むしりとられるぞ」
「マジかよ」
「え~リョウちゃんからは取らないよ、高志から取ってリョウちゃんに貢ぐんだモン」
「はいはい、そうしてくれ」
高峰美紅は同じ年の女子、何故か俺にほれている。
勿論俺も嫌いではないが、だからと言って彼女が一番と言うわけでもない。
だが今の俺の知っている女子の中では一番可愛いしスタイルも良い。
頭は少し…な感じだが、だからと言って彼女は決して勉強が出来ないわけではない。
俺の勘なのだが、彼女はそう見せている節がある、確かに勉強が出来てお高く留まっている女子は男子受けも悪く、とっつきにくい感じがある。
彼女はそこを取り払い俺の気を引く一番良いポジションを作り上げている可能性が高い。
要するに本当の彼女は賢いと言えるのだが、それならば何故俺なのか?
「バイクの免許取れたら後ろに乗せてやるよ」
たぶんこの一言だろう、それならば他の男でもいいじゃん、とか思っているだろう。
それは違う、このバイクの後ろは当時女子でも憧れだった。
かっこいい男子の乗るバイクの後ろに乗り抱きつく姿に憧れる女子は少なからずいるのだ。
普通に抱きつけばいいと思う無かれ、女子は抱きしめたり抱きしめられるのが結構好きだったりする。
だが普段は恥ずかしいから出来ないだけ、そうバイクならば合法的に抱きつくことが出来るのだ。
まあそれはさておき、バイク乗りと言ってもまだ高校1年で、しかも免許も無い状態。
考えてみれば原付きでは2人乗りは出来ないのだ。
そう原付きの次は小型かまたは中型免許を取らなければ白黒パンダに追いかけられたら全てが終了する。
俺の計画はこうだ、まずは原付き免許これは夏に入ったらすぐに取る。
その後冬か春に小型かまたは中型免許を取る。
出来れば高校3年までに大型と行きたいところだが、限定解除はそれほど簡単ではないらしい。
2年前ならば免許の区分けなど無く自動二輪と言う免許を取れば全てのバイクに乗れたのだと言う。
要は事故率が高くなり、道路交通公安委員会が規制した方が良いということになったからだ。
自動二輪免許は3つに分類され、俺が免許を取るときには最低でも中型からトライせねば上には上がることが出来なくなっていた。
ではこれでどうするかと言うと、まずは原付免許で練習し次は中型免許を取得する。
これが最もポピュラーな形だ、確かに小型からと言う場合も有るが、その場合はお金が倍かかるわけだ。
まあそれでもいいがそうするとバイクを買う金が削られてしまう。
学生でバイクは誰もが夢に描いた夢なのだ、今の子供ではそんな事は考えないだろう。
原付きバイクなんて不良で、どうせ盗んで乗っているんだろう・・などと考えている今と比べれば当時の方が考え方は健全だったと思う。
それに、バイクの先にはレーサーと言う職業への憧れもあったから。
まあそこに至るにはかなり狭い門があるのだが、通常はバイクに彼女を乗せ海までいければ万々歳。