表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/90

お土産

お土産


旅館のフロントに7時には戻ると告げて部屋の鍵を預けていく、旅館のある通りから少し歩くとお土産を売っているお店が数軒あるというのでそこへ行ってみることにした。


「ここかな」

「結構色々あるね」

「ああでもお土産にするような物はあまりなさそうだな」


当時のお土産といえば食べ物より記念品が多かった、まだ食品を長期保存する為の開発が今より進んでおらず、保存の方法が良くなるのはさらに10年以上先の話。

その為買うのは絵葉書やペナントと言う、もらってもあまりうれしくなさそうなものが多い。

だが諏訪湖といえばかの有名な信玄公のお膝元、昔からあるのが信玄餅。

当時でもこの地区のお土産といえば信玄餅はかなりポピュラーだった。


「やっぱりこれかな~」

「ああそれしかなさそうだな」


赤い巾着に入った信玄餅、価格的にもリーズナブル、結局3人はそれぞれ同じものを買って帰る事になった。

バイクで行くとお土産もそれほど買うことはできない、それは積載量が少ないという点。

通常バイクに乗ってツーリングへ行くときには、タンクバッグとリュックが主流、2人乗りでなければ荷物用のゴムネットを使用しリアシートへくくりつけるという方法を取る。

バックの中には着替えや寝袋などキャンプ用品が入るため、お土産を入れられるスペースはそれほど無い。

当時は買った物を郵送で運ぶという考えも持ち合わせておらず、宅急便もまだメジャーではなかった。


「ミク美容学校はどんな感じ?」

「そこそこ楽しいよ」

「そうなんだ」

「デザイン学校は?」

「建築系だから毎日製図とデッサンが面倒だよ」

「ふ~ん」

「高志は?」

「一応短大だからさ、結構難しい授業があるんだよ、特に工業系だからアスファルトの材料がどうたらとかさ」

「そりゃ難しそうだ」

「だろ」


そんなことを話しながら又宿泊している旅館へと戻ってくる。

受付で鍵を受け取り部屋へ戻るとすでに食事の用意が整っていた。


「お~久しぶりに旅館の食事だよ」

「うわ~美味しそう」

「あれ?酒は?」

「おまえな~俺らはまだ未成年だろうが」

「え~おまえ固すぎんだろ」

「卒業の後おまえに呼ばれて呑み屋に行ったときのこと覚えてんだろう」


そう卒業して数日後、俺は高志ともう一人の友人が呑み屋で飲んでいると聞いてその店に行った。

すでに高志は出来上がっており数分話しただけでテーブルに突っ伏した彼は、その場で虹のごとく飲食したものをリバースしたのだ。

もちろん俺は殆ど飲めず、高志の介抱をする羽目に。

その当時は道交法もさほどきつくないため彼はなんとバイクに乗って呑み屋へと来ていた。

確かにその呑み屋は自宅から1kと離れてはいなかったから、帰るのもさほど大変ではないのだが、ならば何故バイクでこいつは来たのかと疑問に思った。

まあもう一人の友人はバイクを持っていなかったので彼は2ケツで何処かへ行ってきた帰りに呑み屋へと寄ったと判断した。

だがその後が大変だった、高志はよっぱらい結局バイクは俺が運転しやつの家へと送り届けバッチくなったやつを家まで運ぶ為わざわざ彼のお父様にお迎えいただいたのだ。

家で飲むならいざ知らず、呑み屋でしかもバイクに乗ってくるなどと、今思えば恐ろしい話なのだが。


「あの時はあの時だろ」

「おまえは少し酒を控えた方がいいぞ」

「大学は酒が飲めないと大変なんだよ」


当時大学のクラブ活動は体育会系の場合一気飲みの洗礼を受けるのは通例だった、高志も大学に入りクラブの新入生歓迎会で飲まされたらしい、彼は元々飲めるほうではあるがそれでも限度というものがある。

ましてやその時の体調はさほど良くは無かったのだろう、クラブの飲み会で平気だったのだ仲間と少し飲むぐらいたやすい。

そう考えていたのかもしれない、俺が高志達の飲んでいた呑み屋に着いたときにはすでにジョッキで3杯その後焼酎の水割りを2杯飲み終えたあとだった。


「それはそれ、今日は又違うだろ、そんなに飲むとアル中になるぞ」

「大丈夫だよ俺の家系は皆アルコールに強いから」

「そう言うことではないんだが」


俺が心配しているのはミクが酒をのんだらのこと、その場合絶対襲ってくるだろう。

実は前にもそう言うことがあった、卒業して数日後2人でデートしたときに彼女は飲めないお酒を頼んで少量で寄ってしまい、その後が大変だった事がある。

ミクはアルコールに弱いどころか少量で酔っ払い立てなくなるのだ、その後は絡んでくるのだしかもエロく。

まあその時は何とかなだめすかしておんぶして帰ったのだが、俺の背中で気持ちよくいびきを掻いていたのを今でもしっかり覚えている。


「分かった但し1本ずつな」

「話し分かる~~リュウちゃんダイスキ!」

「おまえにそういわれても嬉しくもなんとも無いんだが」


部屋に添えつけてある電話でフロントを呼び出しビンビール3本を注文すると、直ぐに仲居さんが運んでくれた。


「じゃあ3人の今後にカンパーイ」


全く調子が良すぎて言葉が出ない、まあ高志は特に酒乱と言うわけでもないのでビール1瓶ぐらいなら目くじら立てることも無いだろう。

だがミクは最初の1杯ですでに顔が真っ赤に染まり、少しやばそうな雰囲気に。


「ミクもう飲まなくていい」

「え~そう?」

「ああ後は俺が飲むから」


そう言うとそのままミクは横になり眠ってしまった、夕食は殆ど手付かずで残されており。

食べたのは刺身ぐらい。

鮎の塩焼きや天ぷらなどはそのまま残っていた、彼女は普段から小食なのだがこの食欲でそのボディをどうやって維持しているのかは不思議だった。


「で?すんのか?」

「しねーよ、すんならその間温泉でも行っててやるけど」にやにや


そういわれて心が動かないわけが無い、まだ18歳体だけは大人だが心はまだ成熟していない。

この年齢だと女子はすでに考えだけ大人になりつつあるのだが、それはしっかりした考えがあるというわけではなく。

子供が出来ても生み育てると言う意思だけはしっかり持っているということだけ。

俺のほうは子共なんて全く考えてもいなかった、ただ何時ミクとその行為に及ぶのかは分からなかったので、一応用意だけはしておいた。

当時薬局の横にはそれようの販売機が必ずあった、家族計画と言うやつ。

今のような500円玉がまだ無かった頃、百円玉を5枚から8枚入れると5回分のゴムが箱入りで出てくると言う。

それを買うだけでも恥ずかしかった事を今でも覚えているが、それ無しにはHはしてはいけないのだと誰かに教わった事があった。

通常そちらの方面は大人や先輩から教わったりするのだが、そう言う伝手が無い男子はなかなか彼女が出来ないまま大人になるのを待つしかなかったと思う。

こういうときは悪仲間、いわゆる悪達は結構必要な役割を果たす事もある。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ