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休みの日の前日(金曜日)

休みの日の前日(金曜日)


「もう明日だが大丈夫そうか?」

「天気は大丈夫そうだが」

「バイトは?」

「一応2週連続ではずしてある、その代わり別の日に出ないといけないけどな」

「俺もだよ、今度夜勤にも出る事になったよ」

「仕方が無いよな」


学生で有れば誰でも訪れる金銭的な問題だが、土日にバイトを入れるのが主流な時に土日を休むという事は普段の日にもバイトを入れないと、主任や店長に怒られるかまたはバイトを首になるという。

今のような自由なシフトなど無く、ほぼ固定された出勤日程。

まあそれでも同僚達との連携で何とか休みを取りツーリングは決行できる事になったが、その代わり同僚が休みたいときにはその穴埋めは必ずしなければならない。

この頃はようやくコンビニエンスストアと言うものが普及し始め、ファーストフードなるものも増えだした。

だがそれは都会だけの話、地方に行けばまだおばちゃんが対応する雑貨屋が主流。

ツーリング、しかも女連れで行くにはそれらの情報も必要なのだが、男2名にはそこまでの考えはなかった。


「それでおまえのバイク燃費は?」

「スピードを出さなけりゃリッター25かな」

「俺のはもう少しいいぐらいだ」

「やっぱりか、そうなると地図上では一度給油するようだな」


バイクの燃料タンク容量は大体15リッター、大形バイクになれば20リッターと言うのも有るが。

通常のバイクならば10リッターから15リッター入りのタンクが当時は主流、そして3リッター前後が予備タンクとされており、通常残りの7から12リッターで走行距離を考える。

諏訪湖までならば200k未満、2ケツのため普段より燃料を食うとしてリッター18k換算で計算すると。

10リッターあれば目的地まで無給油で到着可能、そうするとノンストップでかまわないという事なのだが。

一般道の平均時速は50kまでは出ないせいぜい40kと言ったところ、それに信号もたくさんあり土曜日ならば郊外へ行く道路は混んでいると考えた方がよい。

いつもの男のみのツーリングとは違いほかにも細かい配慮が必要だと、この期におよんで考えてしまう。


「何か顔色悪くないか?」

「ばれた?」

「おいおい、明日なんだぜ」

「この顔色はそう言う意味じゃないよ、いつもと勝手が違うツーリングで不安になってきたんだ」

「そうは言ってもな…」

「とにかく少し多めに休みを入れよう、特に景勝地にある休憩所は早めに停めよう」

「分かった」

「国道20号は大垂水で休憩して、その後は大月な」

「ああそれでいいよ」


前日になってこの状況はあまりにもお粗末だが、そのくらい当時の俺達は甘く見ていた。

高志は面倒くさい事をあまりやら無い性格で、細かいところの設定はほぼ俺がやっていた。

地図の取得や時間の使い方、それに計画表など。

まあそれらを度外視して行き当たりばったりのツーリングも面白いのだが、それは男2人のツーリングに限られる。

この期を最後に2人は車の免許取得も考えさせられるのだがそれは別な話。

それほどバイクで2人乗りと言うのは大変なのだ。


「着てくる服は?」

「ああ言ってある、スカートはNGだろ?」

「ああヒールもだめだぜ」

「一応あの紙書いて渡してあるよ」


一応メモ用紙に持ってくるものや服装を一通りメモしておく事にした、後は彼女らに任せるしかないが。

ツーリングには他にもバッグやリュックなどを持って行く、その中に1泊用の着替えを詰めて置くようにして、俺たちの着替えはツーリングバッグに入れる事にした。

夏ということで、日が照ればそこそこ暑くなるのだが上着は絶対に必要なので各自持って来るように、それから下着は一枚ずつ。

化粧品は出来れば持ってこない様にしてもらう、まあそうは言っても女性には受け入れられない事もあるだろうから無理にとは言わず、可能であればの話。

この世代の男には女性の事など半分も理解していないし、女の子側から言ってもらわないと分からない事が山ほどあるのだから。


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