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第74話[発掘作業]

骸骨兵士の亡骸を集め、身元確認が終わり、新たに墓を作るとか。

何でも前あった墓は骸骨兵士の一件が片付いた数日後に大雨が降り、その影響か土砂で埋まってしまったらしい。

そこで新たに作る墓に宝石を埋め込みたいからとお姫様から届いた手紙に書かれていたので、俺とセツコは宝石採取の為にドラゴンゾンビの居た洞窟にやって来ていたのだが……。


「二人っきりになったね」


いや、元から二人きりだろうが。


「セッちゃん、これからどうしようか」


洞窟が崩れ入り口が塞がれていて出られなくっていた。

セツコが拳で破壊を試みるが駄目で、壊しても壊しても、一向に出口が見えない。

俺達は宝石を背負い、洞窟の中央へと引き返す。

飲水の確保はできるが、問題は食べ物だ。

こんな洞窟内じゃ何も見つからない。

光る宝石を眺めながら、どう生き延びるか考えていると、セツコが俺を呼びに来た。


「ねぇ、タッくん」

「コイツ食べようか?」


いや、ドラゴンゾンビの肉何て食えないよ。

つか、まだ肉あったのかよ。

腐敗臭も酷いし、紫の液体が糸を引いてるし、何だか気持ち悪い。


「セッちゃん、お腹空いた」


そう言って座り込むセツコに俺はお昼に持って来たお弁当を差し出した。

宝石取りに夢中で一口も食べていなかったのだ。


「いいの?」


「うん、ただ此処で食べるのはやめよう」


腐敗臭がするこの場に留まるのが苦痛で耐えられなかった。

元の場所に戻り、セツコは俺の弁当を美味しそうに食べる。

量は足らないと思うが、少しでもセツコの腹の足しになれば良い。

そう思っていたのだが……。


「セッちゃん、もうお腹一杯」


そう言って、セツコはサンドイッチを一つ残して俺に弁当を手渡した。

気を遣ってくれたのだろうか。

セツコがあれだけの量でお腹一杯になる訳が無い。


「それじゃ、セッちゃん出口探してくるね」


そう言って、セツコは俺の前から姿を消した。

恐らくまだ食べたかったんだろう。

サンドイッチを見つめていたからな。

でも俺にサンドイッチを食べて貰いたいから、だから出口を探しに出かけたんだ。

俺はサンドイッチを口に入れ、何か食べ物はないか探す。


「うーん、やはり無いな」


このまま、助けが来ないとなれば、すごくマズイんじゃ……。

とりあえず、戻るか。

そう思い、振り返るとセツコが立っていた。

驚いて尻餅をつく俺を見てセツコは笑う。


「全く、遊んでられない状況なんだから少しは真面目にやれよ」


「やっぱり、出口は一つしか無いみたい」


塞がれた入り口か。

助けを待つしか無いのか?

そう思っていると、セツコは入り口に向かって走り出した。


「セッちゃんが頑張って壊すね」


入り口に着き、何度も岩を殴り粉々にして、掘り進めるセツコ。

だが、次第にセツコの拳から血が吹き出し、痛みでセツコの顔が歪んできた。


「セッちゃん、もういいから無理しないで」


俺はセツコを羽交い締めにし抑えるが、セツコの方が力が強い為、俺の体は宙に浮き左右に揺さぶられる。

そして、セツコはお腹から大きな音を鳴らし、力無く倒れてしまう。

俺はそんなセツコをおんぶして中央に向かい、セツコを寝かせた。

服を割いて、それを水に濡らしセツコの拳を綺麗にする。

体中の痒みと戦いながら、俺はセツコの拳に乾いた服の切れ端を巻いた。


「ごめんねタッくん、セッちゃん役に立てなかった」


「馬鹿、セッちゃんが生きているだけで充分だよ」

「こんな洞窟の中で一人きり何て耐えられないだろ」


「えへへ、今日のタッくん優しいね」


「セッちゃんは本当に馬鹿だな」

「俺はいつも優しいだろ」


そんな会話をして笑い合う。

大丈夫だセツコ。

きっとルリ姉がサナを引き連れ助けに来てくれる。

あの心配性のルリ姉がのんびり俺達の帰りを待って居る訳がない。

今頃、泣きながらサナの所へ走って向かっている筈だ。


その頃、ルリ姉は……。


「どうしたんですかルリさん、そんな傷だらけで……」


「サナちゃん、助けて」

「タッティーナとセツコちゃんがまだ帰ってきて無いの」


物凄く取り乱していた。


第74話 完

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― 新着の感想 ―
[一言] こんな状況じゃなきゃラブコメできないのはアレだけど、やっぱり幼馴染とのラブコメは尊くて良い…
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