第63話[いじめ]
俺は最近、よく外出する様になった。
どれだけ外出するかというと、何と驚異の週七日間。
そう毎日だ。
近場の森で木の実を採り、前に助けたスライムのポチとそれを食べて昼寝をする日々。
コレが俺の至福の時間だった。
ポチを枕にして寝るのが最高に気持ちが良いし、ポチと一緒に寝るのが何だか安らかな気持ちになって良い。
ペットを飼っている人達もこんな気分なんだろうか?
そんなある日の事、俺はいつもの様にポチに会いに出かけた。
そして……。
「キュッ、キュイ」
ポチが仲間のスライム五匹に囲まれて攻撃されていた。
「なっ……」
相手はスライム五匹。
まだ一匹も倒せていない俺が行っても勝てる訳が無い。
それなのに俺は走っていた。
そのまま、ポチを抱きかかえ走り去る。
そんな俺の後をスライム達が追いかけて来る。
このままじゃ、殺されてしまう。
死への恐怖からか思う様に足が動かない。
そして俺は躓いて転んでしまった。
咄嗟にポチに覆い被さり俺はポチを守る。
「キュキュキュイ」
「大丈夫だ」
「俺がお前を守ってやる」
ふと、山での事を思い出す。
くそっ、何が強すぎるのも考え物だ。
大切な命一つ守れて無いじゃないか。
ご都合主義でも何でも良い。
力が欲しい。
コイツらを追い払える力を……。
代償として腕が使えなくなってもいいから、だから……。
神様、どうか俺に力を……。
そんな時だった。
「タッくん、ポッちゃん……」
その声はセツコ……。
「二人を虐める何て、セッちゃん許さないよ」
スライム達の攻撃が止んだ。
セツコの強さにビビっているのかな?
くそっ、ダメージを負い過ぎて頭を上げられない。
「待て、逃がさないかんね」
セツコの言葉を聞いて現状を理解した。
そして俺は力一杯叫び、セツコを止めた。
「タッくん……」
「セッちゃん心がモヤモヤってして、イライラってして抑えられないの」
「だから……」
「頼むよセッちゃん、あいつらを殺さないでくれ」
「あいつらはポチと同じスライム、同じ種族の仲間達が殺されてポチが傷つくかも知れない」
「だからお願いだよセッちゃん」
「うん、分かったよ……」
俺は安堵し、そのまま気を失った。
第63話 完




