第57話[公開処刑]
俺はメニに転生者だという事を話した。
彼女に俺は普通の子供では無いと指摘されたからだ。
「すごい、そんな世界があったんだ」
「それでお兄ちゃんは何で女の人が苦手なの?」
うっ、それは……。
忘れもしない、告白して翌日の事だ。
いつもなら朝迎えに来て一緒にセッちゃんと登校していたのだが、振られた翌日、やはり彼女は迎えに来なかった。
当たり前だ昨日、距離を置くと告げられたばかりじゃないか。
振られた現実に心を痛めながら俺は学校へ向かう。
すると、クラスの連中は俺を待ってましたかの様に囲み、夫婦喧嘩でもしたのかと茶化してきた。
セッちゃんの友達もその空気に乗り、セッちゃんを囲む。
そして……。
「別に喧嘩してないよ」
「告白されたから振っただけだよ」
セッちゃんの言葉でクラスの空気が一瞬で凍りついた。
「いや、あんた達相思相愛じゃなかったの?」
咄嗟にセッちゃんの友達の奏美ちゃんがそう言った。
周りから「そうだと思ってた」や「お似合いだと思ったのに」などヒソヒソと話し声が聴こえてくる。
正直、俺も両想いだと思っていた。
そんな中、セッちゃんは……。
「私タッくんの事、異性として好きだなんて一言も言ってないよね?」
はい、セッちゃんの仰る通りです。
だからもう止めて……。
「あっ、そうだよね……、ごめん」
「でもさ、振ったからって友達辞めるのは可笑しくない?」
「今まで通り仲良くすれば良いじゃん」
奏美ちゃんの言葉に俺の友人、成瀬君が賛同しセッちゃんに話しかけていく。
ちなみに成瀬君とは会う度にふざけて股間を触り合う程仲が良い。
「そうだよ達也の事、(人としては)嫌いでは無いんだろ?」
「いや、でもタッくん私の事、いやらしい目で見てるから」
「「えっ……」」
そう言ってセッちゃんは二人に……、いやクラス全員に俺があの時言った事をバラしやがった。
「ねえ奏美ちゃん、奏美ちゃんは下心丸出しの男子に仲が良いからって近寄れるの?」
「異性として好きじゃ無いんだよ」
「いや、その……、ごめん」
セッちゃんの正論に奏美ちゃんは下を向く。
成瀬君も気まずくなり、机に向かって勉強し始めた。
更にクラスの皆んなは俺を哀れみ、誰も俺と視線を合わそうとしなかった。
俺は泣きそうなのを堪えて教室から飛び出して引きこもりになったのだ。
「それ以来、俺は女性が怖くて堪らないんだ」
「別に気にしなきゃいいのに」
「いや、気にするよ普通……」
告白した事をクラス全員にバラされただけで無く、秘密にして欲しかった事までクラス皆んなにバラされたんだぞ。
ある意味、公開処刑だわ。
第57話 完




