第53話[天罰?]
息子のタッティーナを除き、真夜中に家族会議が行われていた。
「うわぁ、ひぃー」
「止めて下さい」
「お願いします」
「聞いたか皆んな」
「ええ聞こえたわ」
「最近、タッティーナが可笑しくなっている」
深刻そうな表情を浮かべるタッティーナ父。
「前までは人形に対し「可愛いなぁ」や「チュッチュちようか」など、普通だったが最近は悲鳴ばかりだ」
「ええそうね、前までは「赤奈たんハァハァだお」とかだったのに、今は目玉だの物騒な事を言っているわ」
そう言って心配する両親にルリが「私に任せて」と言って二人を安心させる。
「おお、ルリがそう言ってくれるのなら父さん安心だ」
「そうね、ルリなら母さんも安心してタッティーナを任せられるわ」
その言葉を聞き、タッティーナ父が反応する。
「おいおい母さんや、それじゃまるで俺にタッティーナを任せられないって言っているもんじゃ無いか」
笑いながら話しかけるタッティーナ父。
「……」
無言のタッティーナ母。
「母さん⁉︎」
こうしてルリがタッティーナの面倒をみる事になった。
朝、俺は地獄の夜を経験し目に酷い隈ができていた。
今夜は寝かさないぜってか、可愛い女性にそれをされたら世の男達は幸せだろうけど、血みどろの女の子にされたら悲劇でしか無い。
ああ、また今夜も地獄が……。
そう思っていたのだが……。
「タッティーナ、今日はお姉ちゃんと一緒にお風呂に入ろ」
「タッティーナ、今夜はお姉ちゃんの部屋で寝ようか」
ルリ姉が俺の側に居てくれるお陰か幽霊が何もしてこない。
俺はこの日、安心して夜を過ごせた。
そして数日後。
「お兄ちゃん卑怯」
「そんな事してたらバチが当たるかんね」
いや、そんな事を言われても困る。
そもそも卑怯な事なんて何もしてないし。
まあ、いいや。
ルリ姉と一緒なら何にもして来ないし。
「幽霊と一夜を共にするより恐ろしいバチ何てあるかよ」
「あっ、ルリ姉」
「今日も一緒にお風呂に入ろう」
そう言って、俺は幽霊にアッケンベーをしてやった。
「ぐぬぬ、お兄ちゃんの癖にぃ〜」
そして就寝時間。
「ルリ姉、今日も一緒に寝てくれる?」
「勿論よタッティーナ」
「お姉ちゃんの部屋にいらっしゃい」
「やったぁ〜」
俺はそう言ってルリ姉に抱きつき眠る。
そして翌朝……。
「タッティーナ、どうしたの?」
「怖い夢でも見ちゃった?」
バチが当たった……。
普通に寝しょんべんをしてしまったのだ。
「いや、うん」
「怖い夢を見ちゃいました」
(プププ、おねしょ何て私より子供みたい)
第53話 完




