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第43話[魔法使い]

「それじゃ私はキッチンを片付けておくから、セツコちゃんは下でタオルを交換しといて」


「はーい」


三十分後。


「セツコちゃん、それは雑巾だよ」


「そっか、ならタッくんの顔を拭かなきゃだね」


それどういう意味?

ねぇ、どういう意味?

つか、濡らしたまま額に雑巾置くなよ。

絞れよ全く……。


「とりあえず拭く物と着替え、あとはタッティーナを私の部屋のベッドに運ばないと……」


セツコのせいで俺のベッドも濡れてるからなぁ、ルリ姉には苦労をかける……。

そんな中、ルリ姉が悲鳴をあげた。


「綺麗なお嬢さん、さてはタッくんさんのお姉さんかな?」


ルリ姉は勢いよく部屋の扉を閉めた。


「どうしよう、変な人が家の中に……」


「セッちゃんがやっつけてあげるね」


コラッ、セツコ。

お前は稀代の錬金術師サナを忘れたのか?

まあ、奴が来た所で俺の熱は上がりそうだけど……。

俺がそんな事を思っていると……。


「ノンノンノン、ダメですよセッちゃんさん」

「暴力はメッです」


「じゃあ蹴るね」


「それもノンです」

「足は歩く為にあるのですから」


いや、蹴りも暴力だろ。


「どうして部屋に……、まさか転移魔法?」


「おや、お嬢さん」

「魔法に詳しくて?」


「一応、魔法学は学んでいます」


「すると魔法使いで?」


「名乗っていいのなら、そうですけど……」


「道理でブッサイクな顔をしてると思ってました」


「はぁ、すいません」


ルリ姉、怒っていいんだぞ。


「ルリ姉ちゃんはブサイクじゃないよ」


おっ、セツコ。

たまにはいい事言うじゃないか。


「ルリ姉ちゃんはこの街で二番目くらいの美人さんだもん」


はいはい、一番はセツコですね。


「それは無いですね」

「この街で二番目に美人さんなのは、何を隠そうこの私、稀代の錬金術師サナちゃんですから」


俺はセツコにサナを窓から捨てる様にお願いした。

セツコはサナを軽々しく持つと言われた通り窓から捨ててくれたのだが……。


「イリュージョン」

「フフフ、私を捨てても無駄ですよ」

「何故なら私は稀代の錬金術師サナちゃんですから」


「あの?」

「さっきから錬金術師って言ってますけど、あなたが吹雪を降らした張本人で?」


「あっ、脳死した魔法使いとは口をききません」

「あなた方のせいで、私達錬金術師がどれだけ下に見られているか」


「ふざけないで、あなたのせいで街から死人が出たかも知れないのよ」


ルリ姉……。


「ルリ姉ちゃんを泣かす何て、セッちゃん許さないよ〜」


セツコ……。


「まあ、お待ちなさい」

「私も反省して、こうして薬を配って謝罪して回っているのです」

「ホラッ、タッティーナ君」

「お薬を飲んで」


半ば強引に薬を飲まされ、瞬時に風邪が治っていく。


「タッくんを治してもセッちゃんはまだ許してないよ〜」


「セッちゃん、ありがとうな」

「もういいよ」

「ルリ姉も泣かないで」


俺はそう言ってルリ姉の肩に手を置いた。


「ルリ姉ちゃん、泣かないで」


セツコもルリ姉の肩に手を置いて慰める。


「うっ、本当に申し訳ない事をしましたねぇ」

「すみませんが、次の家があるので私はコレで……」

「さらばです」


こうして稀代の錬金術師サナは俺の部屋の窓から飛び降り去って行った。

全く、何なんだあいつは……。


第43話 完


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[一言] 全くだよ。本当に何なんだ、あの錬金術師…
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