第4話[異世界転生]
気がつくと俺は光の中に居た。
眩しくて何も見えないで居る中、俺に語りかけて来る老人の声。
「聞け、親泣かせの愚か者よ」
とりあえず俺は返事をした。
すると老人はいきなり地獄行きだと俺に告げてきやがった。
「なっ、何で地獄行き何ですか?」
「俺、何も悪い事して無いですよ」
「これを見て同じ台詞が言えるか?」
「この馬鹿タレ」
そう言うと老人は俺にある映像を見せて来た。
「えー、昨日お昼過ぎに二十代と見られる男性が警察官に職質を受け逃走」
「逃走中に男はガードレールに頭をぶつけ死亡した模様です」
「一体彼に何が起きたのか?」
「当番組が独自に取材した結果、見えて来た背景とは一体……」
そう言って始まった俺のニュース。
リュックに包丁が入っていたせいで、俺が通り魔みたいに報道されている。
泣きながら取材陣に土下座する母。
それを見て、俺は凄く悲しい気持ちになった。
「違うんです」
「あれは猪を殺す為の物で、人を殺すつもりは無かったんです」
「そんな事は分かっとるわ」
「じゃが、お主ら人間は違う」
「お主を凶悪犯だと思い、お主の母さんを責めておる」
そんな……。
くっ、どうして母さんが……。
歯を食いしばり拳を握り締める中、ニュースは続く。
「犯人を死なせてしまったのは辛いですが、事件を未然に防げた事は喜ばしい事だと思っております」
そう言って記者の問いかけに平然と答えるお巡りに、俺は殺意を抱いた。
そんな俺に神様があるチャンスをくれる。
「神の想像を遥かに超える愚かな人間よ」
「お前にチャンスを与えよう」
「異世界に転生し、魔王を倒すのだ」
「さすればこの件、神の力で何とかしてやろうぞ」
「それと地獄行きの件も無くし、天国へ行けるよう手配しよう」
「どうじゃ?」
「やるかな?」
俺は「やります」と即答し、異世界転生をする事に決めた。
「うむ、では行くがよい」
こうして俺は異世界転生し、新たな人生を送る事になった。
第4話 完