第35話[ハッピー]
夢を見た。
何やら神様が俺に用があるらしく教会に来いという夢だ。
俺は目が覚めると朝食を取り、二度寝してから教会へ向かった。
神父に家から持って来た金を握らせ、追い出すと俺は天に向かって話しかけた。
「何ですか?」
「おお、勇者タッティーナよ」
「よくぞ参った」
「はあ、それで何の用ですか?」
「この世界でのスライムの強さが分かっての」
「参考までに教えておこうと思って呼んだのじゃ」
いや、別に興味ないよ。
つか、どの程度強いか分かってるし。
俺以上、そこら辺のガキ以下でしょ。
「どういう訳か知らんが、この世界のスライムは他の世界の魔王を倒せる程の力を持っておる」
へぇ〜、魔王ねぇ〜。
えっ、魔王⁉︎
って事はアレか、この世界の子供は他の世界の魔王より強いって事?
ならこの世界の住人を異世界召喚すれば大抵の事は解決できるね。
僕子供だけど異世界召喚されたので世界救いますってか……。
んっ、待てよ。
異世界召喚か。
その手があった。
「あの、神様の力で他の異世界の人とコンタクトを取って、俺をその世界に召喚して貰えませんか?」
「神力が無くてもその位はできますよね?」
「こうして俺と話しをしてる位ですし」
しばらく沈黙が続いた。
「いや、出来るけどいいのかのぉ」
「労いも込めて赤奈ちゃんのダークデビル衣装やその他四点、そちらの世界に送ろうかと思っていたんじゃがなぁ」
赤奈ちゃんのダークデビル衣装だと……。
あの、超露出度高めの最高に素晴らしい衣装。
まさか新たに発売されていたのか?
正直、超欲しい。
俺の内に眠るM心を目覚めさせたあのドS赤奈ちゃん。
一時期、悪に負けてしまいダークデビルとして仲間達の前に現れたあの赤奈ちゃんの衣装。
欲しすぎる。
それにその他四点も気になる。
「ちなみに異世界召喚すると前に送った物も没収するぞい」
「あれはあくまでお詫びじゃからな」
「ハハハ、神様何言ってんですか」
「ジョーダンですよジョーダン」
「勇者ジョークです」
「うむ、ならば送ろうかのう」
「ちなみにクレームとか言わないでくれよ」
「神様にクレームなんか入れる訳ないじゃないですか」
「うむ、ちょっと目を瞑って待っておれ」
俺は言われるがまま目を閉じた。
そして、神様が開けていいと仰られたので目を開けると……。
「やった、衣装だ」
「ビニール手袋もある」
「んっ、なんだこの紙」
俺は衣装の箱の上に置かれている紙に目を通した。
[頑張れ]
神より。
[タッティーナ様が魔王を倒せるよう、いつもお祈りしております]
あなたのサポート天使より。
「チッ、粋な事しやがる」
俺は衣装の箱と紙を大事そうに抱え、帰宅した。
第35話 完




