第32話[召喚獣]
俺の特訓の日々は続く。
「いい、魔法はイメージが大切よ」
「はい、師匠」
「やめて、何かそれ可愛いくない」
「はい、ルリ姉たん」
「きゃー、タッティーナ可愛い」
時には上手く行かず挫折した日もあった。
「えっ、今日?」
「何か面倒臭いからいいや」
そして遂に……。
「ピヨ」
炎を纏ったヒヨコが現れた。
「きゃー、可愛い」
「タッティーナには才能があるよ」
何処が?
基準が分からないから何とも言えない。
「ちなみにルリ姉は俺位の歳でどの程度の召喚獣を呼び出せたの?」
「えっ、うーんタッティーナ位の歳だともう既にチョコは呼び出せたかな」
「他にも色んな召喚獣を……」
「嘘つき……」
「えっ?」
「俺に才能なんて無いじゃないか」
「嘘つきなルリ姉なんて大っ嫌いだ」
俺の言葉に傷つき、ルリ姉はオロオロしだした。
「違うのタッティーナ」
「タッティーナには可愛いの才能があるのよ」
要らないよ、そんな才能。
「ピヨ」
落ち込む俺に召喚したヒヨコが近寄って来る。
ピヨ……。
お前、俺を慰めてくれるのか?
俺はルリ姉に謝り、ピヨに向かって手を出した。
俺の手の平に乗り頬擦りをするピヨ。
俺の皮膚がジリジリと焼けていく……。
「あっつうぅぅー」
これが俺とピヨの出会いだった。
第32話 完