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第40話[褒め言葉]

翌日、俺達はお城に辿り着いていた。

昨日は色々と寄り道をしてしまったからな、今日はお殿様にでも会って、キミさんの兄弟子の情報を聞き出さないと、あっ、その前にお殿様の丁髷を見て笑わない様、セツコに注意しないと、でなきゃ「無礼なり」とか言って斬り殺されちゃう。

そう思い、セツコに注意をすると……。


「もう飽きたから大丈夫だよ」


と返されてしまった。

ならいいんだけど……。

そんな事をしていると見張りの兵が俺達の所へ駆け足でやって来た。


「やはりその高貴な身なり、勇者殿とお見受けするが如何か?」


えっ?

高貴な身なりって、別にそんな高い物は身につけていないけど……。

ルリ姉のファッションセンスのお陰かな?


「やや、お美しいお顔立ち、やはり勇者殿ですよね?」


分かる?

これでも美少年コンテストで優勝した事があるんだ。

などと気分を良くして、俺は兵士に連れられてお姫様の所へ案内される。


「おお、よくぞ参った勇者殿、何とも素晴らしいお顔立ちじゃ」


そう言ってお姫様はジャガルの所へ擦り寄って行く。


「姫、そちらは勇者殿のお供の者です」

「勇者殿は彼方です」


「えっ、あの見窄らしい……、オホホホホ、ちょっと失礼しますわ」


そう言うとお姫様は兵士と部屋の隅へ行き、何やらコソコソと話し始めた。


「本当に奴が勇者なのか?」


「ええ、遥か上空を飛ぶ鷹の尻穴まで見る事ができる私の目で、勇者のアザを確認致しました」


「そうか……、勇者殿、お待たせしました」

「まあ、何とお美しいお顔立ち」


いや、全部聞こえてるよ。

何が高貴な身なりだ。

何がお美しいお顔立ちだ。

全部、嘘じゃねーか。

俺は一気に気分が悪くなり、帰る事を告げた。

すると兵士達が現れ、仲間達を次々と包囲していく。

そして俺は別室に連れて行かれ、お姫様と二人きりに……。

まさかコイツ、ルリ姉達を人質に何か要求してくるんじゃ……。

そう思った時だった。

お姫様は着物をズラし、肩を露出させる。


「何か暑くなって来ました」

「ンッフ」


えっ、何やってんの?

そのまま、擦り足で近づいて来るお姫様から逃げる俺、一体何がどうなってんだよ。


「勇者殿、私のお願いを聞いて下さるのなら……、ねっ?」


何が「ねっ?」だよ。

訳分からんわ。


「コラッ、止めろ、うわー」


何やら廊下が騒がしい。

そしてしばらくすると、セツコが障子を蹴破り助けに来てくれた。

冷静に考えてみれば、セツコ達が大人しく人質に何てなる訳ないわな。

そう考えていると……。


「いや〜、タッくんのエッチ〜」


そう叫び、セツコは俺にビンタをして来たのだった。


第40話 完

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