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第32話[目指せ優勝]

「さあ、始まりました美少年コンテスト」

「年に四回開かれるこの大会、女性の皆さん、待ち望んでいたんじゃないでしょうか?」


司会者の問いかけに観客の女性陣と一部の男性陣から熱い歓声が沸き起こる。

えっ、こんな大々的なコンテストだったの?

てっきり、十数人がやる気の無い拍手を贈る様な物だと思ってたわ。

何だか緊張するな〜。

海が近いし、波で特設ステージをぶち壊してくれないかな〜。

そんな物騒な事を思っていると、ジャガルが俺の肩に手を置いて来た。


「我が友タッティーナの為、優勝賞品を狙いに行ってきます」


えっ、優勝賞品?

そんなのあるの?

俺は気になって舞台袖から優勝賞品はどれかと覗いてみると、何だか豪華なマントが賞品として置いてあった。

あれがそうなのか?

何だか凄そうなマントだな。

つか、ジャガルの奴何か勘違いしているな。

別にアレが欲しくてジャガルやタイシ君の名前を書いた訳じゃ無いんだけど……、まあ勘違いしてくれているのなら、ありがてぇ話しだ。

そんな事を思っているとコンテストは始まり、最初にジャガルが出て、引き締まった体を観客に披露した。

湧き上がる黄色い声援。

審査員からも、高評価の嵐だ。


「んまっ、良い体ね」

「それに黒のビキニ、あれが彼の肉体美を引き立てているわ」


オネェっぽい審査員がそう言うと、周りの審査員達も頷いて応えている。

あのオネェが審査員のボスなのか?


「皆さん、どうかこの僕にポイントをよろしくお願いします」


そう言うとジャガルは観客に向かって投げキッスをした。


「あらやだ、ちょっとお手洗いに行って来るわね」


そう言うとオネェの審査員は席を立った。

審査員にはウケが悪かったのかな?

観客からは大絶賛みたいだったけど……。


「はい、ジャガルさんありがとうございました」


舞台裏に帰って来たジャガルは俺に親指を立て、笑顔を向ける。


「全力で頑張りました」


ジャガル……、足が震えてまで頑張ってくれたのか。

くっ、何だか悪い事しちまったぜ。


「続いて行ってみましょう」


司会者に名前を呼ばれ、暗い表情を浮かべながら、タイシ君が舞台に上がって行く。

その時呟いた「何で僕が……」と言う彼の言葉が俺の耳から離れないでいた。

恐らく一生忘れる事は無いだろう。

ごめんなタイシ君。


「これまた素晴らしい水着ね」

「ワンピース型で肌の露出を控えめにする何て……、私の内なる野生が爆発しそうだわ」


いや、あのオネェ、何言ってるの。


「それではタイシさん、一言お願いします」


「帰りたい」


「ありがとうございました」


タイシ君が暗い表情を浮かべ、舞台裏に帰って来る。

そんな中、スタッフに俺の名前が呼ばれた。

いよいよ俺の番か。

ルリ姉から託されたこの水着で、会場を沸かせて見せるぜ。

そう意気込み、舞台に立ったのだが、会場は静まりかえっていた。

あれ?

ジャガルやタイシ君の様に黄色い声援が聞こえないぞ。

白けた雰囲気の中、俺はこの会場に居る誰よりも早く皆んなの所に帰りたいと願っていた。


第32話 完

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