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第29話[意外にモテる男性陣]

どうしてだろう。

ジャガルも俺と同じだと思っていたのに、女の人に囲まれている。


「ええい、鬱陶しい」

「作業の邪魔です」


「キャー、もっと言ってぇ〜」


くそっ、やはり顔なのか?

世の中、顔が全てだと言うのか?


「あっ、タッティーナ」

「丁度良い所に、この人達を何とかして下さい」


「知るかよ……」


「えっ?」


「知るかよ、自分で何とかしろよ」


俺は気付いたら走っていた。

やっぱり心の友、親友はタイシ君しか居ない。

そう思っていたのに……。


「キャッ、凄く可愛い」


「や、やめて下さい」


「照れてるの?」

「可愛い」


タイシ君はセクシーなお姉さん達に囲まれていた。


「あっ、勇者」

「助け……」


「裏切り者」


「何が?」


「この裏切り者〜」


俺はそう叫ぶとタイシ君の元から去って行った。

別にモテたい訳じゃ無い。

そもそも女性恐怖症だし、女の人が近寄って来られても困る。

だから男で良いんだ。

俺の囲む人は男で良い。

馬鹿みたいな話しをしてワイワイ作業が出来れば、それだけで良いんだ。

別にハーレムを作りたいとか、そんなかなりレベルの高い我儘を言っている訳じゃ無いだろ?

なのに、どうしてそれを叶えてくれないんだ?

神様は俺に孤独で居ろと?

チキショウ、寂しくて死んじゃいそうだよ。

そんな事を考えながら泣きながら走っている時だった。


「あっ、勇者様だ」

「待って、待って〜」


少女に呼び止められた。


「はいこれ、いつも魔王退治ありがとう」


差し出された一輪の花。

恐らくそこら辺で摘んで来たであろうその花は、今の俺にとって薔薇の花束に等しく思えた。


「どうしたの?」

「何で泣いてるの?」


「嬉しくて泣いているんだよ」


「本当?」

「私も喜んでくれて嬉しい」


少女の眩しい笑顔、彼女は天使なのか?

そう思い和んでいると、ルリ姉達が駆けつけてくれた。


「やっと見つけた」


「皆んな……」


仲間達全員に囲まれ、俺の心は暖かくなっていく。

そうだよな。

俺は一人じゃ無い。

皆んなが居る。

何で世間の目なんて気にしてたんだろう。

何か馬鹿みたいだな。


「わあ、タッくんの持ってる花綺麗だね」


「へへへ、そうだろ?」


自慢気に花をセツコに見せびらかしていると、少女は俺にだけでは無く、皆んなにお花を配り始めた。

一杯摘んでたのかな?

そう思いながら少女を見ていると、少女はルリ姉の前に立ち止まり、顔を赤くし始めた。


「えへへ、私お姉さんみたいな綺麗な魔法使いになりたいんだ」


「あら嬉しい」

「ありがとう」


「それでね、お姉さんだけそこら辺で摘んで来た花じゃ無くてね、貯めていたお小遣いで買ったリボンをプレゼントしようと思ってね、買って来たの」

「受け取って下さい」


「いいの?」


「うん」


「ありがとう」


その一連のやり取りを見て、俺はこの花を見つめながら一人考えていた。

これ、気持ち入っているよね?

プレゼントは気持ちが大事だと言うけれど、何だか変な感じがする。


「タッくん、綺麗なお花だね」


「う……、うん」


第29話 完

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