表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
222/311

第14話[馬鹿な奴]

シグラとキョウギクの話しを聞いていて思った。

俺、そんな恨まれる事した?

いやまあ、確かに魔王は倒そうとしているけどさ、そっちだって色々している訳じゃん。

なのに、死ぬまで俺を殺す事を諦めない何て言われて良い気はしないよ。

寧ろ怖くて震えが止まらないよ。

せめてそう言う事は本人の居ない所で言ってよ。

第一、こっちだって魔王を倒さないといけない事情があるし、別に好き好んで魔王を倒したい訳じゃない。

本当なら家で引き篭もって赤奈ちゃんフィギュアを眺めていたいよ。

命懸けで勇者の使命を果たす程、俺は立派じゃない。

と言いたいけど言える訳も無く、俺はただ突っ立っていた。


「死ぬ覚悟だと?」

「ふざけた事を……」


「ふざけているのはお前の方だキョウギク」

「勇者の仲間の一人も殺せていないのだろう?」


シグラのその言葉にキョウギクは何も言い返せないでいた。


「確かにお前の言う通りなのかもな」

「勇者の仲間を一人、殺せるチャンスを逃してしまったのだから」


なっ、殺せるチャンスって誰かが負けたって言うのかよ。

そんな……。

戦場に出ているのは三人。

ルリ姉とセツコにジャガル。

その中の三人が今、負傷しているのか?

くっ、そう言えばコイツ、俺の事をタッくんって呼んでたな。

て事はセツコが……。


「おい、セツコに何をした」

「殺せるチャンスを逃したって言ってたけど、セツコは無事何だろうな?」


「タッくん呼んだ?」


「ああ、セッちゃんが無事かどうか心配で」


「キャッ、セッちゃん嬉しい」


「嬉しいって、何馬鹿な……、事を?」


あれ、何でセツコが居るの?

怪我も無くすっごい元気何だけど何で?

そう疑問に思っている俺にキョウギクがジャガルの事だと教えてくれた。

はぁ、死にたい。

すっごく恥ずかしい。

耳が熱くなり、今の俺の顔が真っ赤な事が自分でも分かる。


「ねぇ、もう一回言って」


無理です。

絶対に言えません。


「それよりジャガルは無事なのか?」


「うん、セッちゃんが助けてあげたんだ」

「タッくん褒めて」


「うん、セッちゃん偉いね」


「えへへ、タッくんに褒められちゃった」


そんな事をしている間に入り口から魔物が現れて、回復薬をシグラ目掛け投げていく。


「シグラ様、言われた通り店から回復薬を盗んで来ましたぜ」


「出来したぞ」


どうやら事前に店から回復薬を盗む様、指示を出していたらしい。

こういった状況に備えてか?

くそっ、完全に油断した。

俺はシグラから離れ、ルタが人質に取られまいとルタの所へ急いで向かう。

そんな中、シグラは声高らかに笑った。


「馬鹿め、これじゃあ街娘を人質に取ってくれと言っているものではないか」


えっ、街娘ってセツコの事?

一直線にセツコの方に向かって行くシグラ。

そんなシグラにセツコは……。


「近寄らないで」


と言ってシグラの顔面に拳をめり込ませた。

もの凄いスピードで吹き飛ぶシグラ。

避難所の壁は壊れ、数メートル先の民家にまで壁を壊しながら吹き飛んで行った。


「フッ、どうやら馬鹿はお前の方だったようだな」


などと言って俺は一人、格好をつけるのだった。


第14話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ