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第10話[最高にツイている]

シグラの狙いは初めから勇者だった。

光の騎士の話しを聞いた時から勇者をどう殺すのか、それをずっと前から考えていたのだ。

光の騎士の噂を聞けば必ず勇者はシトスフレア王国に訪れるだろう。

その時、戦争を起こし勇者の命を狙う。

それがシグラの目的だった。

その為キョウギクに光の騎士の噂を話し、如何に光の騎士がヤバい存在かを伝え、キョウギクを利用した。

奴ならば勇者の仲間達と渡り合う事が出来るだろう。

上手く行けば一人位は殺してくれるかもしれん。

そんな中、俺は戦場に出ている勇者を影から始末しようと思っていたが……。

まさか避難所に居たとはな。

最高だ。

俺は最高にツイている。

どうぞ人質を捕って下さいと言っている様なもんだ。


「くっ、出たな魔物」


ソルティナが大剣を構えながらシグラに言う。

シグラはそんなソルティナを見て不気味に笑った。


「いいのかポンコツ」

「此処で剣を振るって仲間にでも当たれば取り返しのつかない事になるぞ」


偵察に行っていた小型の魔物から話しを聞かされた時は、正直信じられないでいた。

まさか光の騎士がポンコツだ何て誰が信じる。

だが、支配者の能力を持つ俺の前で奴が嘘を吐く事は不可能。

よって普通なら信じられない話しでも簡単に信じる事が出来た。


「悪いが人質を捕らせて貰う」


シグラは怪我で身動きの取れない兵士達の元へ行くように部下の魔物達に指示を出した。


「なっ、させるか」


一歩踏み出したタッティーナにシグラは言う。


「いいのか?」

「俺がその気になればこの場に居る人間達を全て燃やす事が出来るんだぞ」

「そこのガキもだ」


「ソルちゃん怖いよ」


怯える子供達をソルティナはギュッと抱きしめた。

その間、部下の魔物達が兵士の髪を掴み、鋭利に尖った爪を兵士達の喉元に当てる。

さて後は光の騎士に勇者を始末して貰おうか。

上手く行けば光の騎士も同時に始末できる。

何の罪も無い勇者を殺してしまったんだ。

奴の性格上、自分自身を責めるだろう。

魔物の攻撃が効かないのなら、人間である自分自身の手で肉体を攻撃し、死んで貰おうでは無いか。

まあ、自害しなかったとしても何の問題は無いがな。

シグラの命令にソルティナは手を震わせた。


「そんなの……、出来る訳ない」

「私の手でタッティーナさんを殺せる訳……」


チッ、兵士相手じゃ駄目か?

ならばガキを一人殺してやろう。

そうすれば奴も動かざるを得ないだろう。

そう思い、シグラが子供達に指を向けた時だった。

タッティーナがシグラの前に立つ。


「本当に俺が死ねば皆んなを助けてくれるんだな?」


「ああ、勿論だとも」


「約束だぞ」


「ああ、約束だ」


タッティーナはそれを聞いて安心したのか、ソルティナの方を向き、笑顔でこう言った。


「やってくれ」

「皆んなの笑顔の為に俺を殺すんだ」


第10話 完

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