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第7話[勇者の仲間]

ジャガルとキョウギクの一騎打ち。

キョウギクはゆっくりと体を左右に揺らし、ジャガルは剣を構え様子を見ている。


(一体何をやっているんだ)


そう思ったのも束の間、キョウギクは一瞬で消えジャガルの背後に回っていた。

無防備な背中を曝け出してしまったジャガル。

キョウギクはジャガルに謝りながら、その背中に斬りかかる。


「謝る必要何てありませんよ」


キョウギクが背後に回る事を読んでいたジャガルは瞬時に剣の持ち方を変え、背後に居るキョウギクめがけ剣を突き刺した。

手応えはあまり無い。

恐らく傷口は浅いだろう。

本当なら致命傷を与え、動きが鈍くなった所で首を刎ねようと思っていたが、どうやら少しは出来る奴みたいだ。


「俺が傷を……」


キョウギクの腹部から血が滲み出る。

決して甘くみていた訳では無い。

なのにダメージを受けてしまった。


「いい加減、目を開けて戦ったらどうですか?」

「僕にハンデは必要ありませんよ」


「フッ、生憎だが俺は両目を失っていてな」

「目を開けた所で何も見えないんだ」


「そうですか……」


「だが心配するな」

「目が見えなくても俺の強さは本物だ」


恐らく相手はまだ子供なのだろう。

何処か幼さが残っている。

そして子供ながら戦場に立っている理由が良く分かる。

彼は強い。

将来有望だろう。

だが、そんな彼を俺はこの手で殺さないといけない。

彼は俺達魔王軍にとって危険な存在になるかも知れないから……。


ジャガルとキョウギクの攻防戦。

お互いに剣で攻撃し合い、互いにそれを避けていく。

そんなジャガルの姿を見て、一人の兵士が呟いた。


「凄い、流石勇者様のお仲間」


その兵士の言葉でキョウギクは一瞬の隙をジャガルに見せてしまう。

ジャガルに斬られ、キョウギクはジャガルから一定の距離を置く。


「ハァハァ、隙を見せる何て随分と余裕あるじゃないですか」

「その余裕が命取りになりますよ」


「すまなかったな」

「まさか勇者の仲間だとは思わなくて」


そうか勇者が来ているのか。

道理で強い気配を感じると思った。

恐らく空を飛んでいる奴も勇者の仲間だろう。

て事は光の騎士も既に勇者の仲間に?

だとしたら勇者と合流するまでに光の騎士を始末するというシグラの作戦は失敗してしまったのか。


「いや、まだだな」


光の騎士と勇者が合流したのなら、二人を殺せばいいだけの事。

二人を殺せば魔王様は……。

この戦いが終わったら、久しぶりに魔王様に会いに魔王城に帰ってみるか


「もう隙を見せない」


そう言ってキョウギクはジャガルに斬りかかる。

先程と同じ様にお互いの攻防戦が始まるのだが、異変は直ぐに起きた。

ジャガルが押され始めている。

キョウギクの方がジャガルよりダメージを受けているのに……。

ジャガルの着ている鎧は砕かれ、切り傷が増えていく。


「おい、助けないと」


「ああ、俺達で勇者様の仲間を助けるんだ」


「駄目だ」

「来ちゃいけない」


ジャガルの叫びも虚しく、兵士達はキョウギクに斬りかかる。


「くそっ」


キョウギクの斬撃。

ジャガルは二人の兵士を庇い、剣でキョウギクの斬撃を受け止めようとするが、失敗してしまい、かなりのダメージを負う事に……。


「無事ですか?」


「ええ、まあ……、すみません……」


「いえ、無事ならそれでいいのです」


そう兵士に言うとジャガルは下がる様に兵士に頼み。

そして剣を拾った。


「仲間の為に身を張る何て……」

「出来る事ならお前みたいな奴を殺したくは無かった」


キョウギクの言葉に対し、ジャガルは何も言わない。

ただ下を向き、そして笑っていた。


第7話 完

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