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第4話[先代]

最下層に辿り着いた俺達は台座に刺さっている大剣の前に立っていた。

その後ろにある石碑にはこう書かれている。

俺の名前はススガレ・ファンドル。


「えっ、誰?」


「先代の勇者です」


ああ、そうなのか。

て事はこの洞窟は勇者が作ったのかな?

そんな事を考えながら俺は石碑の続きを読んだ。


先ずは難しい問題を解き、此処まで辿り着いた事を祝福しよう。

俺なりにかなり考えて作った問題だ。

一応、解けなかった用に救済措置も取り入れていたんだが、正直魔物達は強者揃い、問題を間違え続けて此処まで来たとは考え辛い。

だから正解して此処まで来たと俺は思っている。


「いえ、魔物と戦いながら来ました」

「つか、問題は簡単だったよ?」

「シトスフレアのお姫様もそう言ってたし……」

「つかアレでよく今まで盗賊やハンター達に荒らされ無かったね」

「不思議だよ」


何だろう。

塔の魔女の記憶では、もの凄くカッコいいイメージがあったんだけど、何だか怪しく思えてきた。

まあ、アレはあくまで魔女の記憶だから美化されていたんだと思うけど……。


お前達の仲間に光の騎士は居るか?

折角此処まで来たのに光の騎士が居なければ意味が無いぞ。

何せ俺が残したこの大剣は女神の祝福を受けし大剣と言って、光の騎士にしか装備できない代物なんだ。

まあ、光の騎士にしか台座から大剣を抜く事は出来ないが……。

と書いてはみたものの、俺達の仲間に光の騎士は居ないので本当に抜けないのかは分からない。

寧ろ深く刺し過ぎたんじゃ無いかと不安でいる。

だからもし光の騎士でも抜けなかった場合、知識を駆使して何とか抜いてくれ。

此処まで辿り着けたんだ。

君達なら絶対にできる。

俺はそう信じているぞ。


「……、えっ?」


大丈夫だよな?

此処まで来て抜けませんでしたじゃ堪らなく辛い。

とは言っても、こういう台座に刺さった剣を抜くのはちょっと憧れがある。

本当に抜けんのか?

ってな感じでチャレンジしたくなっちゃうからな。

バラエティー番組の激辛チャレンジとか見てるとやりたくなっちゃうアレと同じ感じだな。

俺ならイケるかも知れない的な奴。


「さてちょっと勇者の本気、見せちゃおっかなー」


そう言って俺は台座に刺さる大剣を持ち、力一杯引き抜こうとする。


「ハァハァ、駄目だ」

「ビクともしない」


「面白そう」

「セッちゃんもやる」


俺はセツコと立ち位置を代わり考える。

セツコならイケるんじゃないのか?

正直、力だけなら仲間の中で飛び抜けて一番だろう。


「さーて、ちょっと可愛い街娘の本気、見せちゃおっかなー」


あっセツコさん、それは真似しなくていいです。

何だか恥ずかしくなってくるので……。


「ふんっぐぅ」


結果、ちょっと浮いただけで大剣は引き抜けなかった。


「さーて、光の騎士の本気、見せちゃおっかなー」


ソルティナさんも止めて。

皆んなが真似する必要ないじゃん。

セツコとソルティナさんが入れ替わり、ソルティナさんが大剣に手をかける。

そして……。


「抜けました」

「アハハ、見ましたか光の騎士の本気を……、ってうわわ」


ハシャギ過ぎたのかソルティナさんは足を絡ませて転び、大剣は弧を描いて俺の前まで回転しながら降ってきた。

勢いよく地面に突き刺さる大剣。

その距離、僅か一センチメートル。


「アハハ、すみません」

「転んじゃいました」


転んじゃいましたじゃないよ。

何コレ?

女神の祝福を受けし大剣?

勇者殺しの間違いじゃないのか?


「えへへ、勇者様とセツコ様のお陰で凄い剣が手に入りました」


まあ彼女が喜んでいるのなら別にいいけど……。


「あっ、そうだソルティナさん」

「様を付けなくていいですよ」

「これから一緒に旅をする仲間ですから」


「セッちゃんも付けなくていいよ」

「てか皆んなもその方がいいと思ってるよ」


「そうですか?」

「なら私の事はソルちゃんとでも呼んで下さい」


「ソルちゃん」


そう言ってセツコが呼ぶ中、俺はソルティナさんと言って場を白けさせる。

いや、人見知りに……、しかも女性が苦手な俺にソルちゃんはキツいよ。


第4話 完

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