第79話[解決]
翌日、俺達は王様に呼ばれお城に来ていた。
もう成仏してしまったのか、お姫様の姿はそこには無く、王様も何処か寂しそうな表情をしている。
だけど、以前の様な怖さは無い。
何処か優しく、穏やかな表情をしている。
「何だか晴れやかな気分だ」
「勇者様、数々の無礼本当に申し訳ない」
「本当だ」
「もっと深く反省して貰おう」
「サナ、ジャガルの口を塞いでくれないか」
全く、王様に対して何て口を聞きやがる。
俺は王様に全然怒っていないアピールをして、快く謝罪を受け入れた。
でもまあ、良かったよ。
ちゃんとお別れが出来たのなら。
「ありがとうございます」
「勇者様のお陰で前向きに生きていけそうです」
そんな事言われると、ちょっと泣けてきちゃうじゃないか。
俺達は王様に別れを告げ、孤児院に居るヒヨに挨拶をし、港町のリヘロの家に向かった。
「遅かったですね」
「彼女のお母さんの容体は安定しましたよ」
「後は一週間、薬を飲ませるだけで元気になれます」
リヘロが母親に抱きつく。
リヘロのお母さんも娘を抱きしめ「心配かけたね」と言うと、俺達にお礼を言った。
「良かったねタッくん」
「うん、皆んなのお陰でリヘロ達も救えたよ」
あっ、そうだ。
ジャガルをタイシ君に紹介しないとな。
そう思い、俺はジャガルをタイシ君に紹介した。
二人は自己紹介を済ませ、俺達は次の目的地を決めて、この大陸の北西にある港町に向かう事にした。
「タッティーナ、私もう船は嫌だからね」
分かっているよ。
船が大丈夫な人以外はチョコの背中に乗せて貰おうか。
ジャガルが大丈夫か分からないから、多くて五人位か?
流石に多いか。
そういえばタイシ君が酔い止めを作ってくれるんだったっけ?
だったらチョコの背中に乗るのは三人までにしとこうか。
取り敢えず、現地に着いてから決める事にして、俺達は北西の港町に向け、馬車を走らせるのだった。
第79話 完




