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トータル200話記念[ポチの夢]

ポチの朝は早い。

ママさんが台所で皆んなのご飯を調理している中、ポチは何か貰えないかとママさんの足元へ擦り寄っていく。


「何が欲しいの?」


ポチのお目当ては卵の殻だ。

前に大好きなタッティーナが調理している際、たまたま落としたのを食べて以来、卵の殻にハマっていた。


「そうねぇ、特別にお肉でも焼いてあげようか?」


まさかお肉が食べられるとは思ってなく、ポチは喜びママさんの足元を歩き回った。


「皆んなにはナイショよ」


「キュッ」


やっぱり卵の殻よりお肉の方が美味しい。

そう思いながらポチは朝ご飯が出来るまで台所で過ごしていた。


朝ご飯を食べ終え、ポチは大好きなタッティーナと遊ぼうと近寄って行く。


「キュッ、キュイ」


「悪いなポチ、ちょっとセツコと出かけなきゃ行けないんだ」


ならば自分も行くと言わんばかりにタッティーナの膝の上に座り、連れてけと連呼するのだが、スライムの言葉を理解できないタッティーナは、ポチを床に置き、そのまま玄関に向かって走り去って行く。

置いて行かれた事にショックを受け、落ち込むポチを見てルリが話しかけて来た。


「散歩でも行く?」


「キュッ、キュイ」


ご機嫌にルリの前を駆け回り、そしてルリの腕に飛び込み、ありがとうと連呼する。


「フフフ、じゃあ行こうか」


「キュイキュイ」


街を歩けば子供達が触りにやって来る。

中には幼い子供も居て、乱暴に触られるがポチはそれを耐え、大人しく触られている。


「コラッ、そんなに乱暴に触っちゃ駄目でしょ」


後から来たお姉ちゃんらしき人に叱られ大泣きする子供をポチがあやしながら、愛想を振りまく。


「ルリお姉ちゃん、ごめんね」


「いや……、その……」


そして人見知りが激しいルリに対し、代わりにポチが返事をしてあげる。


「ありがとねポチ」


「キュイ」


お礼を言うルリに返事をして、更に散歩は続く。

そんな時だった。

魔王が街に攻めて来たのだ。


「グゴゴゴォー」


悍ましい程の唸り声、魔王の前にはセツコとタッティーナが倒れていた。

ルリが駆けつけ、魔王に立ち向かうが歯が立たない。

此処は僕が行って皆んなを守らないと、そう言わんとばかりにポチは魔王に立ち向かって行く。


「駄目だポチ、逃げてくれ」


僕なら大丈夫だよ。

あの時助けてくれた恩、今返すね。

ポチのタックルは魔王の胸を貫いていく。

まるで弾丸を撃ち込まれたかの様に胸を貫かれた魔王は吐血して、ゆっくりと倒れていった。


「ポチ凄いよ」


「キュイ」


タッティーナが駆けつけ、抱きしめてくれる。


「ポッちゃん、すごーい」


「助けてくれてありがとう」


セツコとルリにも褒められてご機嫌だ。

ポチは大好きな三人に囲まれて幸せを感じていた。


「あなた見て、ポチったら幸せそうに眠っているわよ」


「きっと、タッティーナ達と一緒に過ごしている夢を見てるんだな」

「はぁ、それにしてもタッティーナ達は上手くやっているのだろうか?」


「ルリとセツコちゃんが一緒だから、きっと大丈夫よ」


「そうだな」

「あの二人が居れば安心だな」


この時のタッティーナはトランラッタ王国の牢屋に居た。

可愛い愛息子が牢屋で過ごしている事を知らない二人は笑い合い、いつもの平和な日常を過ごすのであった。



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