第18話[教会]
俺は家から金を持ち出し、教会に来ていた。
「神父様、ちょっと席を外して貰えませんか?」
「コラコラ、タッティーナよ」
「神父である私が用もなく教会から離れる訳にはいかんだろ」
俺は神父に家から持ってきた金を握らせた。
「神父様、ちょっと席を外してくれますよね?」
「うむ、ちょっと用を思い出したでな」
「私はこれで失礼するよ」
神父が居なくなり、俺は天を仰ぎ神に問うた。
「おお神よ」
「何故スライムがあれ程までに強いのですか?」
「それに何故、俺がここまで弱いのです?」
しばらくして、神々しい光に俺は包まれた。
「すまぬ、何故かは分からんが急激にその世界の魔物達が強くなったんじゃ」
「慌てて神力を使い、その世界の人間達のステータスを上げたのじゃが……」
上げたのじゃが……、何です?
早く教えて下さい。
「その日、お主のサポートを担当しとる天使が休みでの、お主だけステータスを上げる事が出来なんだ」
えっ、何それ。
そんな理由で俺は弱いの?
「あの、今すぐでいいのでステータスを上げて貰えませんか?」
「すまんが、その世界で使える神力がほぼ無くてだな」
「お主を強くするのは無理そうじゃ」
はぁ?
ふざけんなよ。
何で皆んなはステ上げれて、俺だけ無理なんだよ。
これがソシャゲなら大問題だからな。
不具合が起きたので十連分、詫び石配ります。
あっ、あなただけ送れませんでした。
何て事が起きたら大炎上もんだからな。
たぶん……。
「ほら、セツコがおるじゃろ」
「あやつを仲間に旅を……」
「セツコは論外です」
「ならば街の住人を誘うのはどうじゃ」
「子供でもスライムを倒せる」
「ならば大人なら……」
「学校も何も出会いの場が無いこの世界で、引きこもりの俺が他人に声をかけられるとでも?」
絶対に許さない。
何が何でも絶対にだ。
こんな理不尽な世界にした神を俺は絶対に……。
「そうだ、お詫びに前の世界の物、一つだけこちらの世界に送ってあげる」
許します。
「本当にですか?」
「何でもいいんですか?」
「ああ、大丈夫じゃ」
「そのくらいの神力は残っておる」
「じゃあ、魔法少女プリッとラブの青山赤奈ちゃんの国内十個限定フィギュア、イヤんダーリンはあなたよ着せ替え衣装十個セットをこの世界に送ってくれますか?」
「えっ、何て?」
俺は丁寧に説明し、魔法少女プリッとラブの青山赤奈ちゃんの国内十個限定フィギア、イヤんダーリンはあなたよ着せ替え衣装十個セットのフィギュアを手に入れた。
前の世界じゃプレミアで百万した伝説のフィギュア。
「あっ、指紋つくと嫌なんでビニール手袋も頂けますか?
「分かった」
ああ、愛すべき俺の嫁……。
神様ありがとうございます。
感謝します。
こうして俺は魔法少女プリッとラブの青山赤奈ちゃんの国内十個限定フィギュア、イヤんダーリンはあなたよ着せ替え衣装十個セットのフィギュアBOXを大切そうに抱え家へ帰宅した。
第18話 完




