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第55話[ピンチ]

必死になって考えたものの、どうイカの化け物を退治すれば良いのか分からない。

そもそも何も武器は無いのだ。

対抗する手段が無い。


「取り敢えず、この洞窟内にある物で武器になりそうな物を探してみるよ」


俺は人魚のお姫様にそう言うと、洞窟の奥へ進んで行った。

たいまつも無く、薄暗い道を手当たり次第に進む事、数十分。

変な扉を見つけ、中を開けてみる事に。

するとどうだろう。

眩いばかりの金銀財宝の山が目の前にあるではないか。


「凄い、何だこれ」

「金貨の風呂まである」


風呂釜から溢れる程の金貨。

前の世界で言う所の札束風呂みたいなものだろう。


「凄いな、こんなに一杯お宝があるなら伝説系の武器なんかがあるかもしれない」


そう思い色々とお宝を物色していると、何やら水晶玉の様な物が光を放っていた。

それを手に取ると、俺の勇者のアザも光り始め、そして辺りが光に包まれ、シルクハットを被った少女が現れた。


「ほう、あなたがこの時代の勇者様ですか」

「以外と子供っぽいですね」


そりゃ、まだ十四だし……。

って、この人って塔の魔女の記憶に出て来た人じゃ……。


「初めまして、私の名前はカルサ・ナントレイです」

「いや〜、若いって素晴らしいですね……」


俺はカルサさんの長い話しを聞き終え、幽霊なのかを尋ねていた。


「ハッハッハッハ、幽霊何てこの世にいませんよ」


いや、普通に居たけど……。


「今の私はそうですね……、映像と人形の間ですかね」


えっ、何それ。


「こうして物を手に取る事が出来ますし、目的を遂げれば消えます」


そう言ってカルサさんはお宝を幾つか取り、懐へしまった。


「あの、消えるのならお宝は必要ないのでは?」


「ハッ、私とした事がつい癖で……」

「旅をしていた時はお宝を見つける度に勇者さん達と懐に入れ合ったもんですから」


そう言ってカルサさんはお宝をどんどん懐へ入れていった。

流石、ナントレイ家の人間だ。

血は繋がって無いにしても、サナとよく似ている。

そう思っていた時だった。


「テメーら、アタイのお宝に何をしている?」


背後から声がして振り返ると、そこには女海賊が立っていた。


「不味いですね」

「逃げましょう」


そう言うとカルサさんは煙幕を撒き、錬金術の道具を使い、壁を通り抜けて逃げ出した。

俺もその後を追いかけて、人魚のお姫様の所へ向かう。

何だろう、敵増えてんじゃん。


「勇者様、その方は?」


「話は後です、先ずはこの場から離れましょう」


そう言ってカルサさんは海に飛び込んだ。

あの、それは俺の台詞なんじゃ……。

そんな事を思いながら、俺も海へ飛び込む。


「さて、このアイテムを使いクラーケンを倒して下さい」


そう言われ渡された指輪をはめると、不思議な事に足が魚の尻尾に変わっていく。


「これで海の中を自由自在に泳げます」


えっ?


「あっ、武器ですか?」

「こんな事もあろうかと作っておきました」


更に剣を渡され、満面の笑みで「頑張って下さい」と応援される。

だが、俺は弱い……。

当然ながら人魚の様に海の中を自由自在に泳げても、あのクラーケンに勝てる気がしない。

恥を承知でその事をカルサさんに話すと……。


「はっ?」

「何言ってるんですか、流石に笑えませんよ」


冗談じゃ無いです。

実話です。


「えっと、えっ?」

「この時代の魔物が強いのは分かってます」

「ですが、勇者のあなたが弱いだ何て想定外ですよ」

「くっ、こんな事ならあの指輪をもう一つ作っておくべきでした」


頭を抱えるカルサさん。

そんな中、現状が更に悪い方向へと進んでいく。


「姫様、クラーケンが此方に向かってきます」

「それと、何故か海賊船も……」


マジか、クラーケンと海賊船。

敵が同時にやって来る何て……。

絶対絶命の中、先にクラーケンが俺達の前に現れた。


第55話 完

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