第32話[開拓]
村に帰ってきた俺はゴブリン達にダイヤの件のお礼を言い、村を広げようと開拓作業に取り掛かっていた。
先ずはサナお手製の除草剤を撒き、雑草を枯らす作業に取り掛かり、それが終われば村を囲む柵作りに取り掛かる。
ゴブリン達も人間の言葉を覚え、皆んなとお喋りしながら作業に取り掛かっていた。
畑や住まい、他にも周辺諸国に訪れては村で採れた野菜を紹介し、売買契約を結ぶ。
これでゴブリン達も安全に暮らしていける。
広くなった村を見渡しながら、そんな事を考える俺。
村にはミノタウロスも居るし、外部から魔物が攻めてきても大丈夫だろう。
「勇者様、ありがとうございます」
今ではすっかり人間の言葉を話せる様になったゴブリン達。
本当に凄いよ。
「お礼ならサナに言ってやってくれ」
「開拓作業の道具で無く、売買契約何かもサナがやってくれたしな」
「はい、サナ様には感謝しています」
「ですが、勇者様にも大変お世話になったので、お礼が言いたかったのです」
「何言ってんだよ、俺だってゴブリンの皆んなに救われたさ」
「ダイヤの件、本当にありがとうな」
新たな仲間を迎えた事を祝い、村では盛大なお祭りが開かれた。
人間や魔物、それら関係無く笑顔で過ごすこの時間を俺は楽しみ、幸せに感じていた。
第32話 完




