第29話[お留守番]
帰って来たルリ姉から事情を聞き、セツコが悩んでいた事を知った俺は、セツコを安心させる為にある考えを話した。
そう、もう一つの牢屋の鉄格子を砕き、錬金術でダイヤを量産すれば良い。
その事をサナに話すと溜め息を吐かれてしまった。
「あのですね、ダイヤを量産するのにも材料が必要となります」
一から十を作るのでは無く、十から十を作るのだと説明するサナ。
ダイヤを量産する場合、ダイヤをベースに同じ宝石系の鉱石が必要だとサナは語る。
もし石など輝きの無い鉱石を混ぜれば、出来上がったダイヤは本物よりも輝きは無く、物によれば強度も下がってしまうのだとか。
「タッくん……」
再び落ち込んだ表情を見せるセツコを見て、俺は慌てて別の案を考え、それを皆んなに話す。
「だったら、クエストがある街へ行こう」
サナが荒稼ぎした街なら資金は直ぐに貯まるはず。
その事を皆んなに話すと、皆んなは頷き賛成してくれた。
「確かにあの街ならクエストの報酬は高く、直ぐに目標金額に達する筈です」
こうして俺達は王様の所へ行き、国を出る許可をくれる様に交渉をするのだが……。
「ふむ、勇者殿を残すのなら許可しましょう」
「えっ、何で俺?」
「そりゃ、勇者殿を置いて旅を続けたりはしないでしょ」
まあ全員送り出して、はいサヨウナラってなるのを警戒してだろうけど……。
俺が抜けて、この三人で本当にやっていけるのか?
セツコはアレだし、ルリ姉は優しいから反論もせず二人の言いなりになりそうだし、サナは変人だし。
やっぱり俺が抜けるのは良くない。
そう考えていたが……。
「良かった、タッティーナの安全が確保されたわ」
「タッくん弱いしね」
「より効率的にお金を稼ぐ事ができますね」
なっ、コイツら……。
こうして三人はお金を稼ぐ為にヒューガレット王国から旅立って行った。
第29話 完




