第26話[ダイヤの価値]
ヒューガレット王国に戻ると国の皆んなが拍手で俺達を出迎えてくれた。
そしてお城の入り口でルリ姉とセツコ、二人と合流し、呪いが解けた後の話しを二人から聞く事に。
俺とサナが魔女を救った後、街にあった銅像が次々と人間に戻っていったらしい。
それを見た、ルリ姉とセツコは兵士達と一緒に街の外で銅像になっていた人を捜索しに向かったとか。
それで事情を説明し、国に連れ帰ったらしい。
まあ、何はともあれ無事に呪いが解けて良かったよ。
「流石サナちゃん、魔女さんを救う何て凄いわ」
ルリ姉の言う通りだ。
俺とセツコも後からサナを褒める。
すると……。
「いえ、凄いのはシュシュさんです」
「「えっ?」」
「彼女が居なければ、魔女を救う事は不可能でした」
「いや確かにシュシュさんも活躍したけど……」
全部が全部、シュシュのお陰っていう訳でも無い。
サナが錬金術で道具を作らなければ魔女は助けられなかったし、何よりシュシュは逃げようとうるさかったじゃないか。
そう伝え様とすると、俺はサナに両肩を凄い力で掴まれた。
「いいですかタッくんさん、全部シュシュさんのお陰、そうですよね?」
「そうって言って下さい」
何でこんなに必死なんだ?
そう思いながらも、俺はサナの気迫に負けてシュシュが大活躍したとルリ姉とセツコに報告する。
「ほぇ〜、流石ルリ姉ちゃんの妖精さんだね」
「えっ、ええ、シュシュってそんなに凄い妖精だったのね」
「えへっ、ルリちゃんもっと褒めて」
「うん、ありがとうシュシュ」
「二人を守ってくれて」
ルリ姉にデレデレのシュシュを見て俺は思わず笑ってしまう。
この一時の為にシュシュは頑張ってくれたのか。
なら後でシュシュをもっと褒めてあげる様、ルリ姉に頼まないとな。
そんな事を考えながら、俺は王様の元へ着く。
魔女の呪いを解いた事を感謝され、牢屋に入れてしまった事を詫びてくれた。
事情が事情だ。
俺達も王様を快く許す事に。
「それに、魔女の呪いを解くのに活躍したのは私じゃなくて、この妖精です」
「何と、この妖精が魔女の呪いを……」
「フフン、跪いて崇めてもいいのよ」
自慢気のシュシュに王様は感謝の言葉を告げる。
コレで無事に解決だな。
そう思い、王様に背を向ける俺達を王様は呼び止めた。
「待って下さい勇者殿」
んっ、ああ大事な事を忘れてたわ。
「もしかして宴のお誘いですか?」
呪いが解けたんだ、国を挙げて盛大にお祝いするだろう。
そんな宴に、主役の俺達が参加しない訳にもいかない。
「宴って、美味しい物が食べられるの?」
「ああ、そうだよセッちゃん」
そう言って俺はセツコに笑顔を向ける。
すると……。
「いや、牢屋のダイヤの鉄格子を壊したので弁償して貰おうと思って……」
えっ?
「お幾らですか?」
王様は大臣を呼ぶと、とんでもない額の見積書を俺に渡してきやがった。
「う、嘘だ」
「ダイヤがこんなに高い訳が無い」
「ふむ、もしかして勇者殿はダイヤが多く取れる街の出身で?」
「確かにそこの大陸の街や国ではダイヤは無価値の様だが、我が国の様にダイヤが取れない国では非常に高価な品なのじゃ」
そんな……。
「ねぇ、ご馳走は?」
くっ、セツコはちょっと黙ってて……。
って、よく考えてみたらセツコの奴、ダイヤの鉄格子を全部砕いてなかったっけ。
サナの声を聞いて、ルリ姉が牢屋から抜け出した。
そこまでは良かった。
だけど、その後セツコはダイヤの鉄格子を全部砕いていたよな。
サナの牢屋の分も……。
何も全部砕かなくても脱獄できたんだ。
なのに全部砕いてしまったから、この額に……。
こうして俺は十四歳にして多額の借金を背負う事となってしまった。
第26話 完




