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第9話[史上最低の勇者]

「分かりました、ですがお姫様」

「その伝説の剣は本物ですか?」


「当たり前でしょ、この剣は家宝なのよ」

「もしコレが偽物なら、我が国はいい笑い者よ」


「ならば、試させて頂いてもよろしいでしょうか?」


「試すって……、分かったわ、盗む気でしょ」


いや、盗まないから。

つか、王族の家宝を盗めば俺は間違いなく斬首でしょ。

俺はそんな事を考えながら、お姫様に武道大会を開く様に提案した。

伝説の剣を装備して、ウゾンド王国一の剣豪と戦う。

もしその剣が本物ならば、俺はきっと負けないだろう。

多分だけど……。


「という事で負ければ、その剣は偽物なので要りません」


「ええ、分かったわ」


「勝てば、お姫様の足を舐めずに立ち去りますね」


「ええ、分かったわ……、と言うとでも?」


チッ、やっぱり誤魔化せないか。

八割程度でセツコなら「うん、分かったよ」って言うんだが……。

結局、俺が勝てばお姫様の足を舐めながら、「僕は貴女の下僕です」と言わなきゃいけなくなった。

そして、数時間後。

武道大会は開かれた。


「私の名前はビビンチョ・ヒンチョです」

「この国の王国騎士の団長を務めています」

「子供と言えど勇者、手加減などせずに行きます故、よろしくお願いします」


辺りの観戦客達がビビンチョに暖かい声援を送る中、俺は格好つけて登場した。


「フッ、いいぜ掛かって来な」

「まあ貴方じゃ、俺の最強の剣に敵うとは思えないけどね」


俺は目を閉じて深呼吸をする。

そして、目を見開いて叫んだ。


「行けっ、セツコ」


観客からブーイングの嵐。


「最低っ、あんな女の子に戦わせる何て、あの勇者頭可笑しいんじゃないの?」


「なんの為の戦いだよ」


くっ、何も知らないで言いたい放題言いやがって……。


後にタッティーナは、女の子に戦わせ逃げた最低の勇者とウゾンド王国の人々から後世にまで語り継がれる事になる。

まさかそんな事になるとは、この時のタッティーナには知る由もなかった。


第9話 完

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