第118話[家族に相談]
俺は旅立つ事を考えていた。
メニも十四歳で異世界で大活躍している。
俺もそろそろ魔王討伐に出かけないとな。
そう思い、夕食中に両親にその事を話した。
するとどうだろう、先程まで笑顔の絶えなかった食卓が一変し、皆んなの表情が暗くなっていく。
「あの……、皆んな?」
誰も何も話さないこの空気に俺は息が詰まりそうになる。
「なーんて、冗談だよ」
「何だ冗談か、父さんビックリしたぞ」
「そうね、あまり親を驚かせるんじゃないの」
「はぁ、良かった」
「お母さん、このスープ美味しいわ」
再び家族に笑顔が戻っていく。
「っというのも冗談で、本当に旅に出ようかなと思っているんですが……」
再び家族の笑顔が消えた。
「何なの、俺勇者だよ」
「魔王討伐に何で出かけちゃいけないの?」
俺がそう言うと、父さんが全力でテーブルを叩き、口を開いた。
「お前が傷つくからと黙っていたが、もう耐えられん」
「いいかタッティーナ、お前は弱いんだ」
「魔王に何て勝てる筈が無い」
「そうよタッティーナ、貴方は雑魚なのよ」
「だから旅に出る事はお母さん反対」
「お姉ちゃんとずっとこの家に居よ」
「ねっ、タッティーナ」
くっ、何て家族だ。
皆んなして俺が弱いみたいに言いやがって。
特に母さん、ハッキリと俺を雑魚呼ばわりしやがってからに……。
でもまあ、俺には両親を説得する自身はあった。
「つか、ルリ姉は来てくれないの?」
「えっ、私?」
「そうだよ、ルリ姉が来てくれる前提で話してたんだから」
俺がそう言うと両親は手の平を返したかの様に俺が旅に出る事を許してくれた。
「何だ、ルリを連れて行くつもりなら早くそう言ってくれ」
「そうよ、ルリが一緒なら安心できるわね」
「タッティーナと二人きりで旅か〜、お姉ちゃん頑張るね」
コイツら……。
こうして俺はセツコには内緒で仲の良い皆んなに旅に出る事を伝えに行ったのであった。
第118話 完




