第105話[ステーキ]
「へぇ〜、タッくんさんの目玉焼きの方が美味しいと?」
「ふ〜ん、そうですか」
「タッくん、何だかサナちゃんが怖いよ」
天才錬金術師のプライドって奴か?
面倒な事になる前に退散するか。
「それじゃあ俺達はこのへんで、帰るよセッちゃん」
「うん、またねサナちゃん」
「まあまあ、まだ日が暮れた訳でも無いですし、もう一品作りませんか?」
くっ、サナに入り口を塞がれてしまった。
仕方ない、もう一品作ってさっさと帰るか。
「それで何を作るんだ?」
「そうですねぇ、ステーキ何てどうですか?」
いきなり難易度上がり過ぎじゃないか?
その事をサナに指摘すると……。
「何を言っているんですか」
「目玉焼きもステーキも、フライパン一つで簡単に作れるじゃないですか」
いや確かにそうだけど……。
はぁ、まあいいや。
「でっ、ステーキってどう作るの?」
「そんなの自分で考えて下さい」
「私より錬金術が上手いんですから簡単に出来るでしょう」
「ありゃりゃ、サナちゃんが拗ねちゃった」
「仕方ない、自分で考えて作るか」
目玉焼きの要領でいくなら、肉、炭、燃やした紙でイケる筈だ。
恐らく卵が食材、炭と燃やした紙が燃料として錬金釜の中で働き、目玉焼きが出来た筈だから、同じ方法でやればステーキも出来る筈。
付け合わせの野菜何かはどうだ?
野菜、水、燃やした紙でイケるだろうか。
いや、セツコはあんまり野菜は好きじゃないから止めた方がいいか。
次にソースか。
俺は適当に試してみて、ステーキを完成させた。
そして、俺とサナはセツコに作ったステーキの味見をして貰う。
「タッくんの作ったステーキの方が美味しい」
「そうでしょう、そうでしょう私が作った……、ハァ?」
「タッくんさんの方が美味しい?」
「そんな馬鹿な」
サナは俺が作ったステーキを切り分け口に運ぶ。
そして一言。
「まっずぅ」
おいサナ、もう少し言い方を考えろよ。
「ええ〜、タッくんの作ったステーキの方が絶対に美味しいよ」
「くっ、分かりました認めます」
「タッくんさんの作ったステーキの方が美味しい」
「って事でタッくんさん、後日錬金術バトルをやりましょう」
「えっ、嫌だ」
「お断りします」
「お断りはノンです」
「日程は決まり次第お知らせします」
こうして俺はサナと錬金術バトルをする事となった。
第105話 完




