表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みりんのセルデシア冒険記  作者: フェルト
2/3

みりん死す!

みりん死す!デュエルスタンバイ!

(物語は進みます)

森から聞こえる足音を聞いた私は咄嗟に振り返る。

そこに居たのはイノシシにしては熊並みにデカい。それが約25匹くらい。私の記憶だとあれは〈王猪(キングボア)〉であることは間違いないが、あれって、群れでいたっけ・・・?

そんなことを気にしている余裕なんてない。記憶だとあれのエネミーレベルは68だったはず。私のレベルは75だから・・・あれ?これ死んじゃうやつ?

そういえばここで死ぬとどうなるんだろう?そのまま人生おじゃんなのかな?ゲーム(エルダー・テイル)と同じように〈大神殿〉で復活するのかな?

そう思案しているうちに〈キングボア〉との私との距離は約1mくらいまで迫った。あ・・・やっば。死んだわ。これ。

どドドドド

私はキングボアの群れに踏み潰され、地に伏せる。というか起き上がれない。意識が遠のいていく。ああ。私もここまでなのかな?もう一度だけ、母さんや父さんに会いたかった・・・。

そうして私は『死んだ』

・・・・・・

・・・


ふと目を覚ました。死んだことを加味するに、ここは三途の川とでも思っていたがそれは見当違い。ハズレ中の大ハズレだった。

ここは私の通っていた岐阜県の岐阜市立加納中学校の校門のすぐ手前。ギリギリ私の記憶していた範囲だった。学校には「卒業おめでとう」とプラカードが書かれている。どうやら人間死んでしまうと、過去の記憶を想起するらしい。蜃気楼じゃなくて、走馬灯だ。

私の体は自由に動かせた。私はきらびやかそうで厳かそうな校内に入っていく。

教室内には誰もいなかった。多分卒業式の途中だろう。そう考え、懐かしみながら校内をただひたすらに歩く。

体育館に着いた時、私は、もう1人の(中学生時代のみりん)と遭遇した。その私は涙を流している。その後ろの方では私の親が泣きながら黙りこくっている。この光景をはたから見たらものすごい光景だと感じた。・・・・・・・・・

そっか。私。ここで、人生変えてやるって思ったんだっけ。冴えない私を変えるって。まだ、変えられる。みんなを振り回してでも!私を変えてやる!

「みーーてーーろーーよーーー!!!!!!」

私がそう叫んだ時。(もう1人の私)は嬉しそうな顔をしていた。



叫び終わると眼前には美しい光景が広がった。

どこかのプライベートビーチかと言わんばかりの透き通った海。そして、その砂浜は白く透き通っているように見えた。そして、空には私のいる世界(地球)が見える。ただひたすらに綺麗。そういった感情。あと、死後の感覚をひたすらに噛み締めた。

「このままじゃ居られない。もしかしたら真紀もあっちにいるかも」そう感じた私は軽く毛繕いをし、砂浜に身を委ねると、私はひたすらに落ちていく感覚を感じ、視界が真っ黒になっていった。



・・・・・・

・・・

次に私が目覚めたのは〈大神殿〉だ。

大神殿の中にいた人は大慌てだ。

どうやら私が初めての復活者らしい。

ここはアキバの街。

そこにいた別のプレイヤーであろう人から声をかけられた。


「もしかしてあなた。死んだのですか?」

「うん。ロード場所が悪くて即死だったよー。でも、死んでもまたこうして生きて帰ってこれたのは、ぶっちゃけ幸いだったねー」

「幸いですって!?死んでも帰れないのに、幸いって何よ!」


私は胸ぐらを掴まれた。そのプレイヤーは涙を流していた。それもそうだろう。死んでも元の世界には帰れないのだから。私は対して困ってはないけど、中には元の生活に戻れない。苦痛なのも当然なのだろう。と感じ、抵抗しなかった。ルールというのもそうだが、私である程度ストレスを発散できるなら八つ当たりも結構と思っていたのである。こういうことは慣れっこだ。

胸ぐらを掴まれたまま何もしない。何もされない。まさに虚無の時間を過ごした。私はそのプレイヤーを腕で包んだ。いわゆるハグをした。


「今は確かに何とかしようも出来ないし、もしかしたら本当に元の世界には帰れないのかもしれない。それでも、私は死んでも死なずに帰ってこれた。命を。尊い命はここではなくならないと考えれば、少なくとも、いつか笑える時が来るつもて思ってるから。だから今は我慢だよ。つらいね。つらかったろうね。」


優しい言葉で説教した。私くらいの人が名も性別も年齢すらわからない人に説教なんてとは思ったけど、言わないと多分、またこういうことを起こしかねないと思った。単純にさすがに解放されたいとも思ったけどね。


「私の胸借りてもいいから。今はとりあえず泣きな。そしたら笑顔・・・とまではいかなくてもゆっくり立ち直ればいいよ。」


その人は私に言われるがままに泣き始めた。私はその人を慰めようと頭を撫でてあげた。私は少しにこやかな表情をしていた。




・・・・・・

・・・

「・・・なんかごめんな」

「いいよ。気にしなくても。私に出来ることがあれば言ってね」


泣き止んで、恥ずかしいのか少し顔を背けたその人に軽く返し、私は〈大神殿〉から出ようとした。


「ちょっと待って!」

「?」

「あなたの名前と・・・あとフレンドを!」

「私の名前はみりんだよ!」

「僕はエレス。よろしくね!」

「エレスかぁ!・・・え?フレンド?出来るのそれ?」


・・・フレンド機能というのは確かに〈エルダーテイル〉にはあった。でも今、メニュー画面とか出せるとは思ってなかったから、フレンド機能とか特技とかは全部死んでいたのかと思っていた。


「メニュー使えないのに?」

「え?出来るよ?」

「本当に言ってる?マジで?」

「うん。結構マジ。」


その後軽くエレスにメニューの出し方とかその他もろもろ教えてもらい、エレスとフレンド登録。ついでにパーティ登録もした。

パーティ登録してると、パーティ内だったらHPとか状態異常とかの確認ができるようになる。同じゾーンにいる時はどこにいるか方角もわかるようになる。フレンドになってるとオンラインなのかオフラインなのか。どこにいるのかがわかるようになる。あと他にもなんか色々あるけど私は基本使わないというか、普段使いしているせいで覚えてないとか。


「エレス!ありがと!そんで!とりあえず街の方に出るよ」

「え?うん!ちょっと待って!」


私とエレスは大神殿を出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ