真央、話し合う。
ダークネスロードのスキルによって拠点が作り出され大きく目を見開く真由。
簡素ではあるが複数のテントも設置されており寝床として利用も出来るため急造の拠点としては申し分ない。
「え、すごい」
「こんなもの使い捨ての拠点だ、主も同じようにスキルを用いれば簡単に真似できよう。それで本題であるが、しばらくはここを拠点にして辺りを偵察することを推奨する」
「ええ? ここに住むってこと!? 街を見つけてそこで寝泊まりしたほうが…」
「そこだ問題は」
真央を遮り言葉を投げるダークネスロード。それに対して理由がわからず不満に顔を濁す真央。
ひとまずダークネスロードが召喚した拠点内に移り中にある台に向かい合う形で座り込む両者。
「よいか? 主は致命的な見落としをしているぞ?」
「致命的な見落とし?」
相変わらず気付いていない真央に半ば呆れ帰りそうになるダークネスロードだったが、話を続ける。
「主は自分が魔王であることを忘れてはいまいか?」
「え? わたしは魔王にはなったけど姿は人間のままだし問題なくない? だーくんは人間じゃないけど…」
さすがに呆れを隠し通せず溜息をつくダークネスロード。
「我は精神スキルで姿を人間に変化させることができる、そもそもいざとなれば主が我の召喚を解除すればよいだけの話だ。だが主は姿が人間ではあるがその桁外れの力をこの世界の者共から隠し通せるか定かではあるまい?」
「あ、たしかに……」
「よいか? 我は手早く支配したほうが良いと考えているが、主がそれを望まぬ以上は従おう。だが、この世界の知識すらない状態で正体がばれないように人のいる場所へと出向き情報を収集するとなると至難だぞ」
徐々にダークネスロードの危惧している事柄が脳内に刷り込まれていく真央。そこには一切の反論の余地はない。
「我等に匹敵する力は存在しないと断言はできるがその力自体を読み取れる者がおらんとも限らぬからな」
ようやく事態の全容飲み込めたのか唖然とする真央。
それと同時に楽観的に考えていた自身の落ち度に嘆き頭を抱え込む。
「あぁそっかぁ……この世界のことなにもわからない状態で魔王になったわたしが穏便に情報集め出来るかどうかわからないもんね……」
「主の最終目的に関しては後々議論するとして、まず最優先でするべき対策は非常事態にも対応できる拠点及び戦力を備えることであるな」
「え、どうやってすればいいんだろ…う〜……」
突っ伏したまま両足をバタつかせ嘆き続ける真央を見兼ねてダークネスロードは提案を続ける。
「加えて言うならば主は自らの力を全ては把握しきれていまい? まずその力を一通り確認すべきだ」
「一応気付いた時にはどんな力が手に入ったとかは頭によぎってはいたんだけどね、たしかに実際に見てみないと具体的にはわからないなぁ」
「そこでだ、力を試すのと併用して戦力増強を図るのはどうであろうか? 先程の話からして我よりも前にヴァンパイアクイーンを召喚したようだしな」
それを聞くと途端に嫌な思い出を掘り起こされたとばかりにどんよりした表情を見せる真央。
「あ〜……あのやらかしちゃった召喚ね……」
「ちょうどここは陽の光も浴びぬ深き森林、今一度ヴァンパイアクイーンを召喚し直してはどうだ? 我は魔物に関する知識は所有しているが、その中でもヴァンパイアクイーンは力と気品を併せ持っているふさわしい召喚対象であると思うが」
元より再び召喚するつもりではあった真央だが、最初に初歩的なミスを犯してしまったためかあまり積極的ではなかった。
しかし、謝罪をしなければならない自責の念に苛まれているのも事実でありダークネスロードの提案が後押しとなり決意することとなる。
どうも雷稚です!
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