真央、森へと入る。
場所が変わって荒れ地から少し離れた森林へと入り込んだ真央達。
真央はもちろん、召喚されたばかりのダークネスロードにもこの世界の知識はないため手探りで歩んでいた真央であったが、ふと思い詰めたかのように森林内で立ち止まってしまう。
「主よ、どうしたのだ?」
「よく考えたんだけど、わたしすごい効率悪いやり方してない?」
「質問の意味がわからないのだが、なにがだ?」
近くにあった木にもたれかかる真央、あきらかに不機嫌になっているのが見て取れる。その様子を腕組みで静観するダークネスロード。
「よくよく考えたら一応わたし魔王なんだよね?」
「よくよく考えなくても魔王であるな」
「街を探すためにわざわざ徒歩でこんな不気味な森林の中へ入る必要なかったんじゃ……」
「まるで必要ないな」
淡々と返答するダークネスロードに少々苛立ちが募る真央。
「なんで荒れ地を抜ける時に助言してくれなかったかな!?」
「主に深い考えあってかの行動かと勘違いしていた、すまない。まさかなんの考えも無しにわざわざ出歩いていたとは」
ダークネスロード自体には悪意はまるでないが、さらに火に油を注ぐ形になり真央の表情が厳つくなっていく。
「仕方ないじゃんっ! いきなり魔王にされたばかりで元々はただの女子高生なんだからさぁ!! てかわたし森嫌いなんだよね……虫とかいるし……」
辺りを見渡し虫がいないか警戒する真央にダークネスロードは難色を隠せない。
「羽虫如き主であれば歯牙にも掛けずに焼払えばよかろう、いっそのこと森ごと業火に包めばよい」
「いやいやいや環境破壊とかありえないでしょ!? 現実でそれやったらネットのほうが炎上するからね!??」
「…主よ、言っている意味がわからぬ」
「あ、ごめんダークネスロードはわたしの世界のことも知らないもんね。あとさダークネスロードって言いにくいから呼び方変えていいかな?」
「主からの呼び名であれば了承するが……」
先程まで口煩くしていたのがいきなりにこりとした表情に変わると真央はどんな呼び名にしようかとわくわくしながらぐるぐると回る。
ダークネスロードにとっては呼び名等どうでもいいものであるし、ましてやそれを召喚者である主が上機嫌で考えている状態を奇妙にながめていた。
思えば主に召喚されてからおかしく思わなかったことのほうが少ないが、超越せし存在である自身が得たこともない感情ばかりであった。
「じゃあ、だーくんで! いい!?」
「了解した」
真央からしたら女子高生らしい可愛いらしい呼び名のつもりだがダークネスロードにとってはやはり大した問題ではない。
「主よ、話は変わるが先程の物言いからしてこれからの方針としては主が元いた世界へ帰る手段を見つけるということで間違いないだろうか?」
「ああそうだった! 元の世界に帰りたいんだよね、人のいる所へ行って方法を知らないか聞きたいんだけど…だーくんなにか言い考えない?」
「その前にまず確認しなければならないことがある、荒れ地での発言についてだ。主は人のいる場所へただ情報を集めに行くという認識で合っているか?」
「うん、そのつもりだけど……」
それを聞くと無言で辺りに木のない場所へと移動し、地面へと手を向けるダークネスロード。
「なにしてるのだーくん?」
「エンチャントクリエイト」
ダークネスロードがスキルを詠唱すると巨大な魔法陣が展開され拠点が出現した。
どうも雷稚です!
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