真央、闇の支配者を召喚する。
召喚したはずのヴァンパイアクイーンは燃え尽き、事態が飲み込めないまま真央は取り乱しつつもなんとか原因を考え続けていた。
「え、意味わかんないんだけど…召喚の仕方が悪かったとか?」
無理やり結論に至った真央だが、相変わらず話し相手がいないという状況は変わらず召喚自体は継続する意向は変わらない。
「じゃ、じゃあ今度は別の召喚で! ダークネスロード召喚!」
そうして再び展開された魔法陣から今度はドス黒いオーラと共に闇の瘴気に包まれた禍々しい形をした黒き甲冑を身に着けた支配者が目の前に顕現した。
甲冑からは闇の瘴気が溢れ返り、逆立った紫の髪に青白い肌、そして黄金の鋭い瞳を持つロードの名に恥じぬ魔物であった。
腰には漆黒の鞘に納められた細身の邪剣が携えられており、誰が見てもこの支配者は世界を容易く消し去ってしまう力を持っていると分かるだろう。
まさに最強たる闇の支配者はその威厳ある立ち姿で真央を真っ直ぐに見据えていた。
「────我が名はダークネスロード………我を呼んだ召喚者は汝か?」
「あ、はい。多分そうなんですけど、ちょっと質問してもいいですか…?」
重低音が入り交じるその言葉を聞くだけで誰もが威圧感すら感じるであろうダークネスロードの問い掛けに対し、恐る恐る質問をし返す真央。
「…なんだ?」
「さっきヴァンパイアクイーンを召喚したらいきなり燃えちゃったんですけど、理由とかって分かりますか?」
「……陽の光が当たるこの場所で呼んだからではないか?」
「あっ」
ヴァンパイアを知る者なら誰でも分かる弱点を完全に忘れていた自分に呆れかえる。
ようするにヴァンパイアクイーンを召喚して、いきなり陽射しに晒すという拷問じみた所業を行ってしまったというわけだ。
ヴァンパイアクイーンに気の毒なことをしてしまったと反省し、いつか謝ろうと静かに決意する真央。
対して自身を呼び出した召喚者が想像していた物と著しく乖離していたダークネスロードは不可解としか言えない彼女の一挙手一投足にやや困惑してしまう。
しばらく両者共に無言が続くが、痺れを切らしたのか真央のほうから口を開く。
「そ、そういえばまだ質問があるんですけどいいですか??」
「構わぬが、汝が我を召喚した存在である以上我は汝の支配下であることは明白。我に対して下手に出る必要はないぞ?」
自身を配下として扱えと言うダークネスロードにきょとんとした表情で首をかしげる真央。
「えっと、その辺りはよくわかんないんですけど…わたしいきなりこっちの世界に飛ばされて魔王にされちゃって困ってて……どうしたら元の世界に帰れるか教えてくれませんか??」
「言っている意味が分からぬのだが……異世界なる場所からやってきたと言いたいのか?」
「そうなんです〜…あと今のわたしの姿おかしくなってたりしてないですよね!?」
突然鬼気迫る表情で詰め寄られまたしても困惑するダークネスロードだったが、彼女にとっては重要な問題であるのだと理解する。
「見た目という概念の基準が一般的における物に関することであれば超越せし存在である我に問うのはお門違いであろうな。汝の姿は人という存在に近しい見た目であるというぐらいの見識しか持ち合わせておらん」
「とりあえず人ではあるんだ、よかった〜。わたしまだ女子高生なのにゾンビとかに変わっちゃってたらショックだもんね……」
一番の問題が解決したと言わんばかりに安堵の表情を見せ、先程までのよそよそしい態度も和らぐ真央。
しかしダークネスロードにとっては状況がまるで把握できないため、果たして自分を呼び出したこの召喚者が主としてふさわしいのかどうかを推し量ることにした。
どうも雷稚です!
しがまおを読んでくださりありがとうございます!!
この作品を読んだ後によかったらブックマークと評価していただけたら嬉しいです!!
評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】を押していただければ出来ます!