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27話 結婚⑤

 夜、私とサムエル様のお部屋は一応扉と通路で繋がっています。


「もう一歩も引けません」


 ベッドに潜り込んでしばらく。扉の向こうであの人が眠っている。


 大好きなあの人が眠っている。緊張してしまいましたが、やはり行くべきでしょうか。


 とにかくアタックすると言うのならば、今行かないでどうするのですかローズ。


 扉の方に意識を集中させると、何やらドアノブが音を立てない様にゆっくりと動き出し始めました。


 私はあわてて寝たふりをします。薄目で確認しますと、どう見てもサムエル様で間違いありません。


 サムエル様は夜。この部屋に来て何をされるおつもりなのでしょうか?


 彼は眠っている私の顔を確認すると、少し優し気に微笑み、いきなり髪を撫でられました。


 私が驚いてしまい、体をビクッと動かしてしまいました。サムエル様もそれにつられ一瞬ビクッとされてしまいましたが、何とか起きていることがバレずに済みました。


 何故サムエル様はこのようなことをされているのでしょうか?


 夜、私の顔を見に来て微笑む行為。これは普通に考えれば好意があることを表に出さない人が、好きな人の様子を見に来たと考えられるし、今までの私ならそう勘違いしている。


 ですがこれは間違いなく勘違い!


 意図はわかりませんが、サムエル様は夜な夜な私の部屋に来て微笑みかけて髪を撫でている事実。これだけは間違いありませんね。


 ええ、これ好き以外ってあり得るんですか?


 でもきっと勘違いなんですよね。明日どなたかにご相談すべきでしょうか。いえ、これはもう直接ご本人に聞きましょう。


 私は髪を撫でている最中のサムエル様の腕を鷲掴みにしました。


「何を。何をされているのですか?」


「すまないローズ。起こしてしまったか」


「それは気にしなくて結構です」


 そんなことより先ほどの行いを説明して頂かないといけません。さすがに微笑んでいたことまで知っているのはまずいですよね?


「私の寝室で何をされていたのかお答えください」


 私は迫るようにサムエル様にズイっと動き、顔と顔の距離がぶつかる寸前まで近づきました。


「悪かった。もうしない」


「悪かっただとかもうしないだとかどうでもいいです。何をしていたのですか?」


 とにかく行動の理由を知りたい。その一心で彼の腕まで強く握ってしまう。


 当然、私の力ではそこまで強くは握れませんが、それでも彼は振りほどこうとしませんでした。


「これはだな。その大人しく眠っている時の君はどちらかと言えば…………いや、いい。そうじゃない。こういう時でないと、君は拒むかもしれないと思ったからだ」


 そういったサムエル様は乱暴に私の腕を振りほどいて、自室に戻られてしまいました。


 寝ている時でないと、私が拒む?


 やはり、サムエル様。私達が愛し合っているという幻想を抱いていたのは、私だけだったのですね。

でもこれってつまりサムエル様も・・・・


今回もありがとうございました。

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