表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/31

26話 結婚④

 迷った末、私はあの場を適当にごまかしてしまいました。


 サムエル様のお顔をまともに見ることができず、あの時。あの人が何を考えていたか知るすべがありませんでした。


 私はその夜。もう一度ウサギ小屋に駆け込みました。


「ルーツィア!」


「何ですか? ルイーズがビックリしてますよ」


 そういってルーツィアは抱きかかえていたルイーズを私に押し付けてきました。


 嫌そうな目をしながらソファに座り込む彼女が、そのとなりをポンポンと叩いたので、私はそちらに座りました。


「話がないのであれば私はもう寝ますが?」


「そうね、聞いて欲しいことがあります」


 私は素直な感情で彼女にすべてを話しました。今思えば、ウサギ小屋に頻繁に足を運ぶようになったのは、遠慮のない彼女だからこそ、こちらも遠慮なく話せた。


 だから話しやすいと感じたのかもしれません。


「ローズ様はお馬鹿さんですね」


「何ですって!?」


「貴族の結婚に愛だの恋だの持ち出すのもばかばかしい。そんな子供じみたことに奮闘していますと、ひどい目にあいますよ」


 どこか遠い昔を思い出す様に語る彼女。


「あなたは数年前にこの国いらっしゃったのよね? 前の国はどうして出ていったの?」


「大切な友人を裏切ってしまいました」


 ルーツィアはところどころぼかしながら、昔のお話を聞かせてくださいました。


 元々男爵令嬢であったこと。自分が罪を犯したこと。牢屋に入れられたこと。そして国を出ていったきっかけとなった事件のことまでお話してくださいました。


「軽蔑しましたか?」


「ええ、とても」


 私は彼女を抱締めていました。


 彼女がどういう経緯でどんな罪を犯したかまでは聞けませんでしたが、ユルシュルやシュザンヌが一緒に連れてきたことから、何か事情があったと察しました。


「ローズ様、私から言えることは一つです。躊躇しないことで開かれる道はありますが、躊躇しなかったからこそ失敗する人生もあります」


「それって結局成功するか失敗するかわからないってことじゃない」


「ええ、今私がここにいることが成功なのか失敗なのか。開かれた人生なのか閉ざされた人生なのか。決めるのは私です」


 そういうことですか。サムエル様に思いを伝えた後が成功か失敗か。その後になってから決めろと言うことですね。


 彼女は私を元気づけてくれた訳ではありませんね。これは、崖の前に立っている私を突き落とす行為です。


 ですが、少しだけ勇気をもらえたような気がします。


「サムエル様に気持ちを伝えない人生こそ、閉ざされた人生に違いありません! 伝えて失敗したらもう一度伝えてやります!」


「…………え、こわ」


 最後に彼女がドン引きしていましたが、関係ありません。少し前の自分をひっぱたいてやりたい。


「ルーツィア、あなた素敵な女ね」


「そうですか? センス皆無ですよ」


 拒まれたら、もう一度拒ませてやる。最後に笑うのは私ですサムエル様!

大丈夫でしょうかね。まあ、サムエル様はローズに引いている描写あるけど、拒んでいる描写は。。。


もう少しお付き合いお願いします。


今回もありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ